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ぱちん
【美月side】
「麗彪 さんっ!あれかな?あれに乗ってるのかな?」
「たぶんな。手ぇ振ってやれ」
「うんっ!」
今日、綾 ちゃんがお家 に帰る。
空港までいっしょに来て、みんなでお見送りした。
また遊ぼうねって約束して、時任 さんといっしょに作ったマフィンも渡して。
「飛んでっちゃった・・・」
「そうだな」
展望デッキに来て、みんなで飛行機が飛んでくのを見てる。
綾ちゃんケガしてたのに、ぜんぜん平気って言っていっぱい遊んでくれた。
帰る前に、もお1回カンナさんにお薬塗ってもらって、カンナさんもすぐ治るって言ってたし、大丈夫だよね。
「寂しいね・・・」
「美月には俺がいるだろ」
「お嬢、俺もいます!」
「俺もいますよ〜」
「俺も」
「私もいます」
「あたしもいるわよ!」
麗彪さんと、新名 さん、駿河 さん、時任さん、片桐 さん、カンナさんが言った。
うん、みんないるから、ぼく寂しくないよ!
「みーっちゃん、パパもいるよ」
「ぱぱ!?」
いつ来たの?
気付かなかった。
ぱぱも、綾ちゃんのお見送りに来たの?
「綾ちゃん、あの飛行機に乗って帰っちゃったよ?ぱぱ、ばいばいした?」
「ああ、したよ。ちょっと遠くからな」
それから、みんなでご飯食べに行って、ぱぱが遊びに行こうって言って、初めてのとこに来た。
「おっ・・・重い・・・」
「美月、こっちのにしろ。一番軽いから」
遊びに来たのは、ボーリング場。
広いけど、来てるのはぼくたちだけ。
穴のあいた、重いボールを転がして遊ぶんだって。
・・・どおやるの?
「みっちゃん、見てろ。パパがストライク出してやるからな」
「すとらいく?」
ぱぱがボールの穴に指を入れて持って、ちょっと歩きながらボールを振って、前に投げた。
ボールがごろごろーって転がってって、向こうに並べてある白いのにぱかーんってぶつかる。
白いの、全部倒れちゃった。
「みっちゃん!見たかい?パパ凄いだろ?」
「うんっ!全部やっつけちゃったね!ぱぱすごいっ!」
ぱぱが手を出して、タッチするんだよって言われて、ぱちんってタッチする。
白いのいっぱい倒したら、ぱちんってするんだって。
隣でやってた片桐さんもぱかーんって全部倒してたから、片桐さんとこ行ってぱちん。
麗彪さんは、1回目でいっぱい倒したけど、右側と左側に1つずつ残っちゃって、2回目で左側のをぱーんって飛ばして右側のも倒してた。
「今のどおやったの?魔法!?」
「ああ、俺も魔法使えんだ。ほら」
麗彪さんの手にも、ぱちん。
ぱぱと片桐さんは低いとこでぱちんさせてくれたのに、麗彪さんはちょっと高いとこだったから、ぼくはちょっとジャンプしてぱちんした。
隣の駿河さんとも、低いとこでぱちん。
「美月ちゃん、ボール重いから、両手で転がしてね?あたしの真似して?」
「はぁい!」
カンナさんが、線が引いてあるとこに立って、両手でボール持って、前に投げる。
ごろごろーって、まっすぐ転がって、白いのががらがらーって倒れた。
右側のが3つ残ってて、2回目はちょっと右側に立ってボールを転がす。
1つ残っちゃったけど、カンナさんともぱちん。
次はぼくの番。
カンナさんがやってたみたいに、ボールを両手で投げる。
・・・あれ、どおしてそっち行くの?
「あっ・・・違うとこ行っちゃった・・・」
「おい!みっちゃんの番にはオートバンパー出せ!」
ぱぱがお店の人にお願いして、ぼくがやる時は右と左の溝に落ちないよおにしてくれた。
2回目に投げたら、ちゃんと白いの倒せたよ。
「できたぁー!」
ぱぱとカンナさんとぱちんして、麗彪さんともぱちんしよおとしたら・・・。
「麗彪さん、高いぃっ!ぱちんさせてっ」
「ぴょんってすれば届くだろ。ほら、もっかい」
「よっちゃん、意地悪すんじゃねえよ」
「ぴょんぴょんする美月ちゃんが可愛いからって、大人気ないわよ?」
「お嬢、イジワル麗彪さんは放っといて俺とぱちんしましょう!」
ボーリング、初めてだったけど楽しかった。
1番白いの倒したのは時任さん。
2番目はぱぱ、3番目は片桐さん。
ぼくはビリだったけど、みんなといっぱいぱちんできたから、いいんだもん!
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