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キスとEnter
【美月 side】
ぼく、また恐い夢、見たのかな。
覚えてない。
まっ白だった気がするけど、まっ黒だった気もする。
どんな夢だったっけ・・・。
麗彪 さんがいっぱい、大丈夫だって、俺がいるって、言ってくれてたのはちゃんと覚えてるのに。
「美月」
「なあに?」
「いや・・・」
麗彪さんが、ぼくの手を掴んで、下ろした。
あれ、ぼく今、手で・・・。
「麗彪さ・・・んん・・・ぅ・・・っ」
麗彪さんがキスしてくれて、ぼくは麗彪さんにぎゅって抱き付く。
リビングのソファに座って、麗彪さんがお仕事してるの隣に座って見てたんだけど、途中から違う事考えてて、麗彪さんに呼ばれて・・・。
「んっ・・・んぁ・・・んふ・・・」
「隣じゃなくて、膝上 座れって」
「ふぁ・・・でも、お仕事のじゃまになっちゃ・・・んぅ・・・っ」
麗彪さんが、キスしながらぼくを持ち上げて、膝の上に座らせちゃう。
こないだ、片桐 さんたちと滑り台に行った後から、麗彪さんはずっとお家 でお仕事してる。
前にも、麗彪さんがずっとお家にいてくれた事、あったな。
「ねえ、麗彪さん」
「ん?」
「あのね・・・えっと・・・」
言って、いい事なのかわかんないけど、言ってもいいかな。
「ずっと麗彪さんといっしょなの、嬉しい」
「俺も、美月とずっと一緒で嬉しいよ。だから、座る時はちゃんと膝上 に座ってくれ。仕事中でも」
「ふふっ、わかったぁ」
麗彪さんは優しい。
ぼくが嬉しい事ばっかりしてくれて、言って欲しい言葉をくれる。
大好き過ぎて、溶けちゃいそお・・・。
「麗彪さん、コーヒーどうぞ。美月、苺に練乳かけるか?」
「うんっ!いっぱい!」
「かけ過ぎはだめだ。これくらいな」
ガラスの器に入ったイチゴに、時任 さんが練乳をかけてくれる。
・・・もおちょっとかけてくれてもいいのにぃ。
「んっ・・・おいしっ」
「どれ」
「んんっ」
麗彪さんがまたキスしてくれて、ぼくの唇に付いてた練乳も舐めてった。
「美月が苺味で美味 い」
「麗彪さんはコーヒーの味」
「麗彪さん、気持ちはわかりますけどそれ以上は美月くんが減るんでやめてもらっていいですか〜?あと仕事もちゃんと進めてくださ〜い」
駿河 さんに注意されたけど、麗彪さんはぼくにちゅっちゅってするの、やめなかった。
また怒られちゃうよ?
・・・あ、そおだ。
「麗彪さんはお仕事してて?ぼくがちゅってしてあげる」
「なんだそれ最高だな」
麗彪さんがノートパソコンのEnterをたんってしたら、麗彪さんにちゅってするって決めて、ほっぺとかおでことかにちゅっちゅってした。
でも・・・ねえ、麗彪さん、Enter押し過ぎじゃない?
いつも、文章の最後でEnterするのに、1文字ずつEnter押すなんて、それズルな気がするよ?
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