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戸籍と婚姻届
【麗彪 side】
休日の昼下がり。
美月 と一緒にうとうとしていたら、親父から電話が入った。
『麗彪、みっちゃんは?』
「俺の膝上で寝てる」
『来週、榊家 に来い。ひな祭りやるぞ』
ひな祭り?
なんで・・・。
『みっちゃんな、出生届も出されてなかったから就籍手続きしたんだが・・・』
さらっと言いやがったが、この世に欠片も残ってないオカアサンは美月の出生届も出してなかったのかよ。
戸籍すら与えられてなかったなんて・・・。
『性別、女の子で届出しちまったから。じゃ、お雛様飾って待ってるぞ』
親父は一方的に話して電話を切った。
・・・・・・は?
性別を女の子にした?
おい、まじか・・・。
「どうしました?」
俺の様子がおかしいのに気付いた駿河 が聞いてきた。
「親父が美月の就籍手続きをした」
「え・・・美月くん、戸籍なかったんですか・・・それで?」
「美月は戸籍上、女の子になったそうだ」
「・・・・・・・・・成程」
美月は可愛い。
表の会社の奴らは美月の事を女の子だと思ってるし、榊家 にいる奴らも殆どが女の子だと思ってるくらいだ。
いや寧ろ、美月が男の子だと正確に把握しているのは俺、駿河、時任 、片桐 、カンナ、新名 、親父・・・までだな。
藤堂 と柳 は男の子かもしれないって程度の認識だろうし。
俺は美月が女の子だろうが男の子だろうが関係なく愛してるし、敢えて性別を偽 らせようとも思っていない。
親父だって・・・なのに、なんで・・・。
「それなら婚姻届が出せますね」
「・・・・・・・・・あ、そうか」
養子縁組について親父に話した事がある。
親父の養子にするか、俺の養子にするか。
どっちみち、美月が知ってる結婚とは違う形になるから、美月にちゃんと話してからがいいだろうと時期を伺っていたんだった。
それが・・・。
「美月が本当に俺の妻になる・・・のか」
「式の日取りを決めましょう。あ、入籍日はいつにします?取り敢えず婚姻届用意しますね〜」
駿河が張り切ってパソコンを開いた。
なに検索してんだ?
式場か、ドレスか、次の大安吉日か?
「婚姻届、ダウンロードしました。印刷しますね〜」
へえ、役所に行かなくても手に入るもんなんだな。
結婚記念日 いつにするか、美月と相談するか。
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