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天使の香り
【麗彪 side】
「おいぃ、どおぉなってんだあぁ?あいつらいったい何考えてやがんだゴルァあ"!!」
「落ち着いてください麗彪さん、座席を蹴らないでください外傷性頚部症候 群になりそうです〜」
「ああ"?運転席蹴ってねぇだけ冷静だろうがっ!」
俺は苛立っている。
思わず駿河 を助手席シート越しに蹴るくらい。
今日は表の仕事で会食だった。
そこで、鬱陶しいオンナどもが俺にやたら擦り寄って来るという地獄を味わったんだぞ。
俺には美月 という天使かつ小悪魔な嫁がいるって知ってるはずだろうが!
「前にパーティーで、麗彪さんが美月に甘々だったのが噂になった様です。気に入られればワンチャンあるとか思われたんじゃないですか?」
「はあ"!?美月以外は生ゴミだ!燃やして埋めんぞっ!!」
表の仕事じゃなきゃ実際そうしてた。
時任 がもっとガードしてりゃあこんな胸糞悪 ぃ思いしなくて済んだだろうが。
くそが・・・気持ち悪 ぃ。
「良く我慢してましたけど、酒に逃げてましたからね〜。これ、マンションに帰らない方がいいんじゃ・・・」
「美月んとこに帰るっ!」
「麗彪さん、その状態で美月に会うのは・・・」
「煩 ぇ!さっさと美月んとこ連れてけっ!」
今すぐ美月を抱きたい。
あんな臭 ぇ香水じゃなく、美月の甘い香りに癒されたい。
あ"ーくそ、服に臭 いが移った気がする。
このスーツはゴミだな。
「ちょ、麗彪さんこんなとこで・・・」
「捨てとけ」
マンションの駐車場に着き、車から降りると同時にジャケットを脱ぎ、ネクタイと一緒に捨てる。
ベストもだめだな、捨てよう。
「はいはい処分いたします〜。麗彪さん、上行ったらざっとシャワー浴びて・・・」
「美月が先だ」
「・・・恐がられても知りませんよ」
エレベーターの扉が開き、時任が玄関を開ける。
美月はどこだ・・・。
「おかえりなさいっ」
少し遅くなるとは言ってあったが、風呂は一緒に入ろうと約束していた。
だから起きて俺の帰りを待っていた、俺のスウェットを着た美月が駆け寄ってくる。
「麗彪さ・・・ふぇっ?」
がばっと抱き付き、首元に顔を埋 めて深呼吸。
足りない。
唇を奪い、舌を絡め吸って舐 る。
まだ足りない。
もう一度、首元を嗅ぎながら、堪らず噛み付く。
「んぅ・・・っ・・・よしとらさん・・・っ」
獣 にいきなり喰い付かれたのに、その優しい手で頭と背中を撫でてくれる。
ああ、美月だ・・・やっと息が出来た気がする・・・。
「・・・っ、ごめん美月・・・美月が足りなくて死にそうだった・・・」
「うん、大丈夫。お疲れさま、麗彪さん」
落ち着いてきた。
あー、やっちまった、強く噛み過ぎた・・・。
腕の中の天使を抱き上げ、その首元の噛み痕を舐めながら、俺は風呂場へと向かった。
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