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⭐︎番外編⭐︎学校に行こう
***籠の鳥パラレル***
── 5歳の美月が榊家 に居たら ──
【雅彪 side】
仕事を済ませ帰宅すると、昼寝を終えたばかりなのか目元を擦 りながら、可愛い子兎がお出迎えしてくれる。
薄桃色の兎の着ぐるみパジャマを着た榊家 の天使、みっちゃんだ。
「ぱぱ・・・おかえ、なしゃぃ・・・」
「ただいまみっちゃん。起きたばっかかな?」
抱き上げると、ほかほかと温かい。
ああ、寝起きだなこりゃ。
「よしよし、ちゃんと昼寝したか?」
「ん・・・いっぱ・・・したぁ・・・ぁふ」
あくびも可愛いなあ。
そのまま居間に行き、みっちゃんを膝上に座らせながら柳 が用意したお茶を飲む。
みっちゃんにはリンゴジュースだ。
「おいち」
「おいちいか。パパお仕事終わったから、一緒に遊ぼう。公園行こうか?」
「んー?」
リンゴジュースをこくこくと飲みながら、何か考えるみっちゃん。
公園の気分じゃねえのかな?
「ん。あのね、がっこね、いちたいの」
「がっこいちたい・・・学校に行きたいの?」
「うんっ」
成程、麗彪 たちの学校を見に行きてえんだな。
さすがに中には入れねえだろうが、迎えに行くついでに見に行ってみるか・・・。
リンゴジュースを飲み終えたみっちゃんを抱っこして、麗彪の部屋へ行く。
みっちゃんの着替えが置いてあるからだ。
麗彪 、みっちゃんを連れてきてからやたら側に置きたがって、みっちゃんの世話は自分がすると言って聞かないんだよな。
だから、みっちゃんの部屋は麗彪の部屋になっちまった。
「兎さん脱いで着替えよう。何がいいかな・・・」
「こえ!」
「・・・それ、よっちゃんのパジャマだろ?こっちがいいんじゃない?」
「やーや」
「やーやか・・・じゃあ、せめてこっちにしよう?そのパジャマだと寒いから」
みっちゃんは、何故かよく麗彪の服を着ている。
麗彪が着せてるのかと思ってたが、みっちゃんが着たがってたのか。
大きいサイズの服が好きなんだろうか。
なら、今度俺の服も着せてみるかな。
ピンクベージュのコーデュロイパンツ、白ベースのロンT、麗彪の黒いパーカーを着せて完成・・・って、やっぱぶかぶかだな。
せめて袖を捲 っとくか。
「片桐 、中学生どものお迎え、少し早いが行くぞ。みっちゃん学校見たいんだと」
「わかりました。GLSでいいですか?チャイルドシート載せてあるんで」
純正チャイルドシートを買ったのは、環流 がみっちゃんを安全に車に乗せたいと言ったからだ。
俺も麗彪も抱っこして乗ればいいだろと言ったんだが、いかにチャイルドシートがみっちゃんを守るために大切かをプレゼンされ、装着方法から乗せ方までみっちりレクチャーを受けた。
「それじゃ、行こうか」
「がっこ、がっこ!」
みっちゃんをチャイルドシートに座らせて、レクチャー通りベルトをしっかり固定する。
往路 は隣に座るが、復路 は麗彪が隣に座りたがるだろうなあ・・・仕方ない、譲ってやるか・・・。
「出します」
「おう。安全運転で頼む」
俺だけならなんでもいいが、みっちゃんが乗ってるからな。
まあ、言わなくても片桐ならわかってるだろうが。
少しして学校に着き、来客用駐車場に車を停めた。
みっちゃんを降ろし、歩きたそうだったので手を繋いで校舎の近くまで行く。
手を繋ぐ時はみっちゃんの手を引っ張らない、と環流に誓わされたから、少し上半身を倒し気味に歩かないといけない。
・・・腰にくるな、これ。
「おっちーねぇ」
「おっきいねえ」
「よちとあしゃんと、しゅうがしゃんと、とちとおしゃんと、にーなしゃん、おべんきょしてう?」
「お勉強してるよ、たぶん」
一応、真面目に授業は受けてるはずだ。
みんな成績も悪くないし。
新名 は去年から通い始めたが、元々頭は悪くなかったのか、成績は上位らしい。
だが、せっかく頭が良いのに高校には行かないとか言い出して困ってしまった。
将来俺の仕事を手伝うにしても、高校は行っておけと半 ば無理やり受験準備をさせている。
駿河 は経営学部に行きたいと、高校より先に大学を決めているくらいだから心配いらないだろう。
「ぼくも、がっこいく?」
「ん?そうだな、来年から小学校だな」
「ここ?」
「違うよ。別のとこだ」
別の所だと聞いて、明白 にがっかりするみっちゃん。
ここに通えるのは7年後だと言っても、納得はできないだろうなあ。
「よっちゃんたちも、去年まで小学校に通ってたんだぞ?だから、よっちゃんたちと同じ学校だ」
「・・・おなじ?ほんと?」
「本当だよ」
「いっしょにいく?」
「んー・・・卒業しちゃったからなあ・・・」
そうか、みっちゃんは独りで小学校通うのか・・・送り迎えはするにしても、心配だな・・・。
校内でもみっちゃんを護れる様にしたいが・・・誰かに教員免許でも持たせて捩じ込むか・・・。
「そろそろ出て来ますよ」
片桐に声をかけられ、車の方まで戻る。
わくわくしながら待つみっちゃんの隣にしゃがんで昇降口を眺めていると、うちの中学生どもが出てきた。
部活に入っていないってのもあるが、それにしたって早くないか?
他の生徒はひとりも出てきてねえのに。
「おかえぃなしゃいっ!」
「「美月!?」」
「美月くん!?」
「お嬢!?」
4人とも、いいリアクションだ。
あと、俺もいるぞ?
「迎えに来てくれたのか?」
「うんっ!がっこね、みにちたの!」
「学校見たかったの?中も入る〜?」
「はいりゅっ!」
「だめだろ。それに、おやつの時間だ」
「おやちゅ!」
「お嬢、今日のおやつはプリンですよ」
「ぷいんっ!」
ああ、そうか、こいつらみっちゃんのおやつの時間に間に合う様に、急いで出て来たんだな。
どんだけみっちゃんの事が可愛いんだよ・・・って、俺も似た様なもんか。
みっちゃんを再びチャイルドシートに座らせてから、中学生たちも乗せていく。
「よっちゃんはみっちゃんの隣にするか?じゃあせっちゃんとさっちゃん3列目 に乗りな。まーちゃんはよっちゃんの隣だ」
いつもはこんな風に子供扱いすると不貞腐れるが、みっちゃんの前だからかみんな大人しく従ってくれた。
俺は助手席に乗り込みながら、うちの子たちは可愛いなあと、改めて思った。
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