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だだっこ
【麗彪 side】
「行きたくねぇー・・・」
「よしよし、行きたくないねー。でも、行かないとだめだよねー」
「だめじゃねぇー・・・」
「だめって駿河 さん言ってたよー。時任 さんも待ってるよー」
「ん"ん"ー・・・」
今俺は、仕事の後の会食に行きたくないと駄々を捏ねている。
リビングのソファに座った嫁の腰にしがみ付いて。
「ほら、着替えに行こ?ぼく、手伝ってあげるから」
「・・・美月 も脱いでくれんなら」
「ふふっ、なんでぇ?」
理由は脱がしたいからだ。
しがみ付いた状態から、そのまま抱き上げて寝室へ向かう。
ぜってぇ脱がす。
「ごめんね〜美月くん、麗彪さんが我儘で〜」
「さっさと着替えてさっさと行けって、はっきり言ってもいいんだぞ?」
駿河と時任が、俺に抱え上げられた美月になんか言ってる。
煩 ぇ、お前らは黙っとけ。
「だだっこの麗彪さん、可愛いから好き」
「さすが俺の嫁。お前らも見習え」
「「いやいや俺ら嫁じゃないんで」」
美月と2人で寝室に入り、ベッドに下ろす。
さてと・・・。
「麗彪さん着替えよ?」
「美月が先に脱いで」
「んもぉ・・・」
そう言いながら、着ていたロンTを脱いでくれる美月。
露 わになった柔肌に、唇を寄せ新しい痕を付けていく。
首、鎖骨、胸、脇腹・・・。
「んっ・・・ぅ・・・くすぐったぃ・・・っ」
「んーっ、よし。これ着て」
自分が着てたロンTを脱ぎ、美月に被せる。
もぞもぞと、襟から顔を出したところで唇も奪う。
「んん・・・んふ・・・っ・・・んぁ・・・、もぉ、着替えなさいぃっ」
「はーい」
スーツに着替えネクタイを襟に通すと、美月が手を伸ばしてきた。
俺はベッドに座り、可愛い嫁にネクタイを締めてもらう。
凄 ぇ幸せ感じる。
「・・・できた。うん、カッコいい」
「誰が?」
「ぼくの麗彪さんが」
「俺の美月が可愛い」
思わず抱き寄せて、キスしようとしたのに・・・。
「だぁめ。お仕事でしょ?」
いつか見せられた動画の猫みたいに、美月が俺の口元に両手をあてた。
・・・まあ、これ、舐めるやつだよな。
「んひ・・・っ」
「俺の美月が美味 い」
「麗彪さん、美月くんが減るのでやめてください。もう行ってください」
痺れを切らした片桐 が寝室に突撃してきやがった。
こいつも最近忙しかったのと、ここ数日夕方に雷が鳴る事が多いのとで珍しく気が立ってるらしい。
・・・仕方ない、癒しの仕事を与えてやるか。
「嫌過ぎるが、行ってくる。片桐、美月を頼んだぞ」
「はい」
「一緒に昼寝していいから、俺が帰るまでにたっぷり寝かせといてくれ」
夜は寝かせてやれねぇだろうからな。
俺の指示の意図を理解している片桐は、ため息をつきながら言った。
「程々にしてあげてくださいよ」
「仕事次第だな」
またスーツを捨てるハメにならなきゃいいんだが・・・。
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