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気を付けるんだ・・・ですよ

美月(みつき)side】 今日はぱぱのお(うち)でお留守番。 麗彪(よしとら)さんと駿河(するが)さんと時任(ときとう)さんは出張、片桐(かたぎり)さんと新名(にいな)さんは昨日の夜からお仕事行ってて、カンナさんもそのお手伝いに行ったんだって。 ぱぱも今日はお仕事で、夜になったら帰ってくるって。 「お嬢!そんな走ったら転んじまう!」 「だいじょーぶー!」 浩太(こうた)さんが心配してるけど、桜鬼(おうき)たちとお庭で遊ぶの、楽しくて。 お庭の端から端まで、走ったり歩いたりしながら行ったり来たりしちゃう。 桜鬼と同じジャーマンシェパードの楓鬼(ふうき)柃鬼(れいき)も、今日はいっしょに遊んでくれてる。 桜鬼がお姉さん、楓鬼と柃鬼は弟なんだって。 「まじで!お嬢が怪我したら俺がころ・・・」 「黙れ浩太」 あ、藤堂(とうどう)さん。 浩太さん、ぼくが怪我したら・・・なに? 「お嬢、昼飯ですよ。手を洗ってきてください」 「はぁい!」 桜鬼たちを順番に撫でなでしてから、お家に入って洗面所に行く。 浩太さんもいっしょに。 「ったく、(ほせ)ぇのによく走りますね。5分でバテると思ったのに・・・」 「えへへ。ぼくね、ジムで頑張って体力作りしてるんだっ」 「へえ・・・意外」 だって、体力付けないと、麗彪さんが満足するまで頑張れないんだもん。 「あ、お嬢、ここまだ泡残ってるじゃん」 「あれ、ほんとだぁ」 耳とかまゆげとかにキラキラしたの着けた、ちょっと恐そうなお兄さん・・・って初めて会った時に思ったけど、浩太さんもとっても優しい。 あの時も、ぼくがかくれんぼしてるの、手伝ってくれよおとしたし。 「はい拭いて・・・よし、飯食いに行きますよ」 「はぁい」 浩太さんといっしょにご飯食べるお部屋に行く。 今日は、ぼくと浩太さんと藤堂さんの3人でお昼ご飯。 テーブルの上には、鶏とたまごのそぼろ丼、長芋ときゅうりのサラダ、ブロッコリーのチーズ焼き、ナスのお味噌汁。 「お嬢、そぼろ丼食うの箸よりスプーンのがいんじゃね?ちょっと待ってろ・・・」 「浩太!」 「・・・ちょっと待っててください」 藤堂さん、浩太さんがぼくに敬語を使わないと注意するんだけど、ぼく別に敬語じゃなくていいのにな・・・。 前にそれ言ったら「お嬢は若の嫁で、榊家(うち)の神様ですから、そういう訳にはいきません」だって。 若っていうのは、麗彪さんの事。 このお家では、ぱぱが1番偉くて、次が麗彪さんだったんだけど、ぱぱがぼくの事みんなに神様だって言ったから、ぼくが1番になっちゃったみたい。 ぼく、なんにも偉くないのに・・・。 「ほらスプーン。熱いから気を付けるんだ・・・ですよ」 「ありがと、浩太さん」 浩太さんは、敬語使うの苦手みたい。 たまに変な言い方してて、面白い。 でも藤堂さんはそれじゃだめって、よく注意してる。 藤堂さんは浩太さんに厳しいけど、2人とも優しいんだから、もっと仲良くして欲しいな。

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