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ひゃおあいにゃいーふぁー
【麗彪 side】
色々と、想定よりスムーズに事が進み、全員にまる1日休みが出来た。
1日なので遠出はできない。
多少損耗 の激しい者もいる。
ならどうするか・・・。
「パジャマパーティーしよっ!」
美月 の提案で、家でゴロゴロ をする事になった・・・までは良かったんだが。
「はい、みんなパジャマ 着てね」
各自に美月からパジャマ が配られる。
美月はピンクの兎、俺は黄色の虎、駿河 は黄緑の狸、時任 はオレンジのカンガルー、片桐 は灰色の狼、新名 は黒い狐、カンナは紫の猫・・・の着ぐるみパジャマ。
こんなの、いつの間に買ったんだ?
「俺も知りませんでした」
駿河が首を横に振る。
そうか、ひとりでネットオーダー出来る様になったんだな。
「美月くん宛に届いたので、私が受け取って検品しておきました」
片桐が確認済みか。
事前情報がなく美月宛・・・相当警戒しただろうな。
「あら、もう1着あるの?」
カンナが美月の手元を見て言った。
え、その模様って・・・。
「白い虎さん。ぱぱの」
「「「「「「パパ・・・」」」」」」
嫌な予感がする。
まさかとは思うが、美月、お前・・・。
「よう、みっちゃんにお呼ばれしたんで来たぞ」
親父が来やがった。
美月、いつの間に親父に連絡してたんだ・・・。
「これ着るのかい?」
「うん」
親父があっさり着ぐるみパジャマに着替えたので、俺たちもそれに倣 う。
ふわふわと、やたら着心地がいい。
「あとね、くじ引きあるよ」
「「「「「「「くじ引き?」」」」」」」
兎が徐 に、カンガルーの育児嚢 へずぼっと手を突っ込んだ。
時任 が僅 かに辟易 ろぐ。
ポケットの中を少し探ってから、兎がひょいっと取り出したのは棒付きキャンディ。
そして、ぴろりとフィルムを剥 き、躊躇 う事なくぱくりと口に入れた。
「いちおみゆく」
苺ミルク味だった様だ。
・・・ん?
くじ引きって言ったよな?
当たり外れがあるんじゃないのか?
「はじゅえ、ひゃおあいにゃいーふぁー」
外れ・・・なんて言った?
口から飴ちゃん出して喋ろうか?
兎に角、外れを引かなければいいだけの話だ。
アニマルたちが我先にとカンガルーのポケットに手を突っ込む。
カンガルーは微妙な顔をしながらも無抵抗だ。
諦めて残り物を選ぶつもりらしい。
俺が引いたのは・・・。
「こーあ」
コーラ味だった。
親父は・・・。
「ぶろう」
葡萄か。
片桐は・・・。
「りんお」
林檎。
駿河は・・・。
「ふいん」
・・・プリン、か?
新名は・・・。
「うぉうぉ」
・・・・・・あ、桃か?
残るはカンナと時任・・・。
「・・・んぐ・・・っ」
時任が微妙な顔をした。
どうやら残り物は外れだった様・・・。
「わなな・・・」
バナナ、だと・・・?
そうか、単に時任が苦手なバナナ味だっただけか。
と、いう事は・・・。
「ん"ん"ん"ーっ!!」
時任が外れを引いたと安心して、真の外れである棒付きキャンディを口にしたカンナが悶絶している。
おい、何だその殺傷能力高そうなフレーバーは!?
美月が引かなくて本当に良かった・・・!!
「みっちゃん、外れは何味なんだい?」
「んー・・・っと、キャロライナリーパー」
ちゅぱっとキャンディを口から出して、可愛く小 聡 明 く残酷な兎が、微笑んだ。
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