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ゲームとアイス
【美月 side】
「愛してる」
駿河 さんが真剣な顔で、片桐 さんを見つめながら言った。
「信じられません」
片桐さんは、少し残念そおな顔でお返事してる。
駿河さんの言葉、信じられないって・・・。
「愛してるっ!」
「もう一度お願いします」
「あ、あ・・・愛して・・・くうぅ・・・っ!」
「駿河さんの負けぇ」
駿河さん、片桐さん、カンナさん、時任 さん、麗彪 さん、ぼくの順番で、リビングのラグマットの上に輪になって座ってゲームしてる。
愛の告白をして、照れたり笑ったりした方が負けのゲーム。
次は片桐さんがカンナさんに告白する番だ。
「愛しています」
優しい笑顔と優しい声で、片桐さんがカンナさんに言った。
「・・・・・・ぶふぅっ!」
「カンナさん弱ぁい」
次はカンナさんが時任さんに告白。
「愛してるわっ」
カンナさんが、ぱちんってウインクしながら、時任さんに言った。
「もう一回」
「ぁ、愛してるぅっ」
「もう一回」
「ちょ、愛してるってば!」
「もう一回」
時任さんが無表情で「もう一回」ってくり返すから、カンナさんががしって時任さんの両肩を掴んだ。
「愛してるっつってんだろ!諦めろコラ!」
「もう一回」
「ぐおぉぉ・・・っ」
「カンナさん、やっぱり弱ぁい」
あれ、さっきの環流 さんだったのかな。
次は時任さんが麗彪さんに告白・・・。
「愛してます」
「心がこもってねぇな」
「込めていいんですか?」
「やめろ、それは美月からしか受け取りたくねぇ」
このやり取りは・・・麗彪さんの負け、になるのかな?
じゃあ次は、麗彪さんがぼくに言ってくれる番だ。
「美月、愛してる」
「もお一回」
「愛してる」
「ん、うん、もおいっか・・・んぅ・・・っ」
麗彪さん、ぼくが言い終わる前にちゅーした。
もお、これじゃゲームにならないよぉ。
「セリフだけで勝負できなかった麗彪さんの負けですね〜。それじゃ美月くん、俺に告白を・・・」
「させるか!」
麗彪さんがぼくの口を両手で塞いだ。
もお、ゲームにならないってばぁ。
「麗彪さんがやろうって言い出した癖に〜」
「仕方ねぇな。美月、そのまま言ってやれ」
え、このまま?
「んむむむう」
「も〜いっかい」
「おい、欲しがんじゃねぇよ」
「むいむむう」
「も〜いっか〜い」
「いい加減にしろ」
「むうむぐう」
「なにやってるんですか?」
あ、しりとりで負けちゃって、おやつ買いに行ってくれてた新名 さんが帰ってきた。
麗彪さんがぼくの口塞いでるの見て、テーブルにアイスが入った袋を置いて、麗彪さんの手を掴んだ。
「お嬢を虐めないでください」
「俺が美月を虐める訳ないだろ。ベッドの上でない限り」
「ベッドでもやめてくださいお嬢が減ります!」
新名さんのおかげで、麗彪さんの手が離れた。
2人が仲良く遊んでるうちに、アイス選ぼっと。
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