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鞭と手錠

麗彪(よしとら)side】 実家の方が落ち着いた様なので、美月(みつき)を連れて恒例の真ん中バースデーをやりに来た。 美月も、あと4日で18か・・・。 「ね、麗彪さん」 「ん?」 料理、酒、ケーキで宴会をして、満腹になりだらだらしていたら、プレゼントを開けていた美月が俺の服を摘んで引っ張った。 「これ・・・」 ファンシーな包装の中身を見せてくれる。 ふわふわした、虎柄ファー付きの、手錠。 ・・・どうしろと? 美月に使えと言うのか、それとも美月に使ってもらえという意味なのか。 どっちもアリだな。 「使い方、わかる?」 「悪い事した人の手に、警察の人が付けるやつ?似てるけど違う?」 「合ってる。手錠な。それの玩具(おもちゃ)だ」 大人の・・・。 いや、ちょっと待て、こんな感じのが他にもこのプレゼントの山の中に埋もれてるんじゃねぇだろうな? 美月はエロいが、俺は基本的に玩具は使わない。 俺以外を美月んナカ挿入(いれ)るとかしない。 「あとね、これもあったよ」 しまった、既に開封済みの大人の玩具が・・・。 「ガチのやつじゃねぇか・・・」 美月はなんだかわかってないみたいだが、お前が今持ってるのは乗馬鞭だ。 正しい使い方を教えるにしても美月には必要ねぇし、馬主でもないのになんでこれがプレゼントなのかと疑問に思うだろう。 大人の使い方を教えたところで、美月が俺に振るうとは思えないが・・・。 「がち?」 「ええと・・・馬に乗る時に使うやつだな。なんでそんなのが入ってたんだろうな・・・」 「馬?」 「お嬢、お馬さんごっこしましょうか。俺がお馬さん役をするので、是非その鞭を俺に・・・」 「お前か(やなぎ)!」 美月に変な事させんな! 馬役が必要なら俺がやる! 「お?みっちゃんお馬さん欲しいのかい?買ってあげようか」 「お馬さん、飼うの?」 親父が参入し、乗用馬を買う買わないの話になってしまったが、運動音痴の美月に乗馬させるのかと聞くと、親父はあっさり諦めた。 「では、その鞭は俺に使ってくださ・・・」 「柳、黙れ」 ふと、左手首にふわっとした感触。 見ると虎柄ファーの手錠がまさに今、嵌められたところだった。 「美月さん?」 「えへ。たいほー」 こんな可愛い警察(サツ)になら捕まるのも悪くねぇな。 「まじか、俺とした事が遂に・・・って、反対側自分に嵌めちゃったのか?」 「試しにやってみたら、外せなくなっちゃったの」 「・・・ん?」 外せなくなっちゃった? 玩具なんだから簡単に外せんじゃないのか? ファーをかき分けると、小さな鍵穴が見える。 ああ、玩具でも鍵が()るのか。 「鍵は?」 「カギ?」 「これ、外す鍵」 「カギ・・・あるの?」 「ないの?」 手錠が入っていた箱に鍵は入っていなかったらしい。 なら他に紛れてるのか? それから、美月と手錠で繋がったまま、プレゼントを片っ端から開封し鍵を探すハメになった。 誰だ、こんな面白(おもしれ)ぇ事しやがったのは・・・。

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