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⭐︎番外編⭐︎環流さん観察日記
【美月 side】
「俺の観察日記?いいよぉ」
環流 さんがいいよって言ってくれたから、今日は環流さんの観察日記を書く。
昨日までずっと忙しくて「疲れちゃったから今日はカンナじゃなくて俺だよぉ」って言ってお家 に来た環流さん。
いっぱい疲れちゃうと、カンナさんになれないのかな?
紫の猫パジャマ着て来てくれたから、ぼくも兎のパジャマを着て、いっしょにリビングでごろごろ。
今日のお留守番は片桐 さんもいるから、片桐さんにも灰色の狼パジャマを着てもらった。
「その観察日記、絵日記じゃないの?」
「ううん、文字だけ」
「絵は描かないの?」
「・・・・・・ぼく、絵、へたなの」
前に、大きいスケッチブックとクレヨンを買ってもらって、絵を描こうとした事あったんだけど、すごくへただった。
いっしょうけんめい描いたのに、なに描いたのかわかってくれたの、時任 さんだけだったんだ。
かっこいい虎を描いたのに・・・。
「そっかぁ・・・でも、絵って下手 とか上手 いとか関係ないと思うなぁ。描くの楽しければ描いていいんだよ?」
「うん・・・でも、文字だけにしとく・・・」
ごろごろしながら環流さんを観察。
環流さんは休みの日、基本的に何もしないって言ってた。
だから、何もしない環流さんを観察して日記に・・・ん?
ラグマットの上でごろごろしてるんだけど、環流さん、ストレッチしてる?
ぼくもいっしょにやろ・・・。
「環流さん」
「なぁにぃ?」
「それ、ヨガのポーズ?」
「・・・え?あ、ほんとだ」
環流さんは、何にもしないんじゃなくて、ごろごろしながらヨガしてる・・・っと。
「なんでだろうね、無意識だったなぁ」
そっか、他にも無意識でなにかするかも。
よく観察してなきゃ。
あ、猫パジャマのしっぽ掴んでぶんぶんし始めた。
「霖之助 ぇ、なんか飲み物ぉ」
「はいはい」
環流さんはたまに片桐さんの事、霖之助って呼ぶ。
片桐さんの方が2つ歳上なのに。
仲良しさん・・・っと。
「はいお茶。美月くんはカルピスソーダをどうぞ」
「ありがと、片桐さん」
環流さん、正座してお茶を飲んでる。
環流さんは夏でもあったかいお茶を飲む・・・っと。
「美月ちゃん、楽しそうだね。観察日記、どこまで書けたの?」
「うん!麗彪 さんと、時任さんと、駿河 さんと、片桐さんと、新名 さんのは書けたよ」
並んでうつ伏せに寝っ転がりながら、環流さんに日記帳を見せてあげる。
「へぇ、どれどれぇ・・・麗彪くんは・・・かっこいい、時任くんは・・・休んで欲しい、駿河くんは・・・仕事を手伝いたい、霖之助・・・みたいになりたい、新名くんは・・・すごい人?あはっ、美月ちゃんほんっといい子!可愛い!」
「ええ?ぼくの事は書いてないよ?」
寝っ転がったまま、環流さんにぎゅってされて、ごろごろ転がって遊んだ。
環流さんは、ごろごろするのが好き・・・っと。
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