282 / 300

公式ルールでは禁止

美月(みつき)side】 (あや)ちゃんが言ってた、りこんって言葉を調べた。 離婚・・・婚姻関係を解消する事・・・って、書いてあった。 それって、結婚したのをなかった事にするって事だよね? どおして、そんな事言ったんだろ。 ぼく、麗彪さんのお嫁さんになりたくて、婚姻届も書いて、本当にお嫁さんにしてもらえて、嬉しかったのに。 綾ちゃんの事も好き。 駿河(するが)さんも、時任(ときとう)さんも、片桐(かたぎり)さんも、新名(にいな)さんも、カンナさんも、ぱぱも好き。 だけど、麗彪さんが1番好きで、愛してて、特別なの。 だから、麗彪さんと離婚はしたくないし、綾ちゃんと結婚も出来ない。 それ言ったら、綾ちゃんは・・・。 「美月、どうした?」 「・・・んーん、なんでもない。ウノ」 みんなでウノしてるのに、考え事しちゃった。 でも、あと1枚であがり。 最後の1枚は緑の3。 ぼくの前にカードを出す麗彪さんがなんのカードを出すかによって、ぼくが1番にあがれるかどうか決まる・・・んだけど・・・。 「スキップ」 「あ、ちょっとぉ!」 ぼくの次の片桐さんが黄色のスキップを出して、カンナさんが飛ばされた。 「くらえドロツぅ〜」 「ドロ2(それ)持ってんのはお前だけじゃない」 駿河さんが黄色のドロ2を出して、次の時任さんも赤のドロ2を出す。 新名さんがドロ2持ってなかったら、カードを4枚取らないと・・・。 「運良く俺も持ってました」 新名さん、ドロ2持ってた。 緑のドロ2だ。 やった! これで麗彪さんがカードを6枚取って、ぼくの番になって・・・。 「ごめんな、美月・・・」 「・・・え?麗彪さん、まさか・・・っ!?」 「これ出したら、美月はあがるどころか誰よりも手持ちのカードが多くなる。そんな(ひで)ぇ事したくないんだが・・・・・・(ゆる)せ美月!」 麗彪さんが苦しそうに、青のドロ2を出した。 ・・・酷い・・・でも、これはゲームだし・・・まだ負けたと決まった訳じゃないし・・・! 「・・・いいもん、カードいっぱいで、なんでも出せるもん」 「さすがお嬢、前向きで素晴らしいです!」 ぼくがカードを8枚取ってたら、新名さんが褒めてくれた。 ありがと、新名さん。 ぼく、麗彪さんにだけは負けないよおに頑張るから! 「あの・・・ドロ2のスタッキングは、公式ルールでは禁止されていませんでしたか?」 片桐さんが言った。 「スタッキングって?」 「ドロ2にドロ2を重ねる事ですよ〜」 え、じゃあ、ぼく、8枚取らなくていいって事? 「榊家(ローカル)ルールだからスタッキングありだ」 「成程」 「ふぇ・・・」 結局ぼくは、カードいっぱいで1番にあがれなかったけど、麗彪さんには勝てたから良かったですっ! 次は麗彪さんがぼくの次になるよおに、座る場所変えてもらお。

ともだちにシェアしよう!