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運動会当日
【麗彪 side】
ついに、運動会当日。
親父のやつ、場所と道具を用意してくれると言っていたが、まさか揃いのユニフォームまで用意するとは・・・。
「みんなお揃いで嬉しいっ!」
美月 が大喜びなのはいいんだが・・・白地にピンクの兎が背中にどーんと描かれたTシャツとショッキングピンクのジャージだぞ。
ファンシー過ぎる。
「みっちゃんはこれ振って応援するんだぞ」
「わぁい!これ、なあに?」
「ポンポンだ」
美月がピンクのポンポンを装着し、親父に言われるがまま振っている。
・・・可愛過ぎてテンションが上がるな。
「美月ちゃぁん!かわえぇなぁ。俺の事も応援してくれんのぉ?」
綾 たちも会場に現れた。
・・・こいつ、精鋭を呼んできやがったな。
五十嵐 と堂本 は来るだろうと思ってたが、伊吹 姉弟か・・・身体能力高ぇんだよな。
あとは皇 だったか?
こいつ、運動出来ないんじゃ・・・ああ、応援要員か。
「うん、綾ちゃんたちも応援するよ!頑張ってね」
「頑張るわぁ!」
「なぁなぁ、この娘 が美月ちゃんなん?ほんまかわえーやん!大阪連れて帰るんやったら、あたしの妹にしたる!」
「紅(こう)、東京湾逝 きましょうか。寂しくないように蒼 も一緒に沈めてあげますよ」
「ちょ、新名 さん、なんで俺まで沈めるん?ねーちゃんだけでええやん」
伊吹姉が美月を妹にするなんて恐いもの知らずな事を言うから、自称美月の兄である新名が本気でキレている。
おい、沈めるとか言うな、美月が反応するだろ・・・。
「東京湾?海?ぼくも行きたい!」
「お嬢、行くならもっと綺麗な海に行きましょうね。沖縄なんてどうですか?」
良かった、沈めるってとこは聞き流してくれたみたい・・・。
「沖縄の海で沈めるの?」
「お嬢は浮き輪でプカプカするから、沈みませんよ」
「そっかぁ」
しっかり聞き取ってたか、さすが美月。
東京湾に沈める具体的な方法を聞かれなくて助かった。
「時任 くんと片桐 さんは、持ち物検査させてぇや」
「丸腰に決まってんだろ」
「美月くんの前ですからね。五十嵐と伊吹姉弟はあちらのテントで一度全裸になってもらえますか?」
「勘弁してぇな・・・こっちかて丸腰やて。綾ちゃんが正々堂々やる言 うたからな」
へえ、九十九組 も正々堂々やる気なのか。
つまり、綾の美月への気持ちは本物って事だ。
尚の事タチが悪い。
「駿河 くん、お互い頑張ろなぁ」
「そうですね〜、怪我だけはしない様にしたいですね〜」
駿河と堂本は戦闘力が低い者同士、穏やかに牽制し合っている。
そうだな、怪我はするなよ、美月が心配する。
「救護テントの設備めっちゃ整ってるぅ!みんなー、好きなだけ暴れていいわよー!」
カンナ が煽ってんじゃねぇよ。
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