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メモ帳とこし餡
【美月 side】
今日は運動会。
ぼくはぱぱといっしょに応援係。
カンナさんは救護係だって。
あと、ぼくの隣に座ってる人・・・。
「綾 ちゃんたちの応援係ですか?ぼくもいっしょに応援します!よろしくお願いします」
「・・・・・・」
あれ、なにも言ってくれない。
急に話しかけたの、嫌だったかな・・・。
「・・・ん?メモ?」
ポケットから出したメモ帳に何か書いて、見せてくれた。
『皇です。すめらぎと読みます。よろしく』だって。
「皇 さん、よろしくお願いしますっ!」
声が出せないのかな。
風邪?
「皇さん、喉痛いですか?ぼく、飴持ってますよ。どおぞ!」
皇さん、少しびっくりした顔してから、にこって笑って飴を受け取ってくれた。
りんご味だけど、好きかなぁ。
飴を口に入れて、またメモ帳に書いて見せてくれる。
『ありがとう。美味しい』だって。
良かった、りんご味好きで。
それから、みんながカンナさんに教わりながら準備体操してる間、ぼくは皇さんのメモとおしゃべりした。
好きな食べ物を聞いたら、こし餡が好きだって。
小さいお餅をたっぷりのこし餡で包んだお菓子が1番好きだから『今度食べさせてあげる』って書いてくれた。
ぼくはいちごが好きだから、こし餡でいちご大福作ってあげたら食べてくれるかなぁ。
「皇さんも滑り台好き?今度いっしょに片桐 さんに連れてってもらお!」
ぼくが大きな滑り台が好きって言ったら、皇さんも『ブランコより滑り台が好き』だって。
ぼくといっしょ!
「こんな所に思わぬ伏兵が・・・!美月、皇 と仲良くしちゃいけません!」
「なにしとんや皇っ!俺が美月ちゃんに告ったん知っててそらないわぁ!」
準備体操、終わったみたい。
麗彪 さんと綾ちゃん、元気いっぱいだね。
2人とも、ぼくいっぱい応援するから、ケガしないで楽しく運動会しよおね!
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