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2人3脚
【麗彪 side】
次の競技は2人3脚か。
本来であれば身長の近い者で組むのがいいんだろうが、親父ルールでチーム内で1番背が高いやつと低いやつが組む事になった。
白組 で1番デカいのが198cmの片桐 、1番小せぇのが178cmの駿河 だ。
身長差20cm・・・しかも片方は運動神経がそんなに良くない・・・が、まあなんとかなるだろ。
「俺、走るの苦手なんですけど〜」
「片桐にしがみついてりゃいいだろ」
「いや、さすがにそれは恥ずかしいが過ぎる〜」
「片桐、駿河に構わず全力疾走でいいぞ」
「それだと、最後のリレーで彼が使い物にならなくなる可能性があります」
「普通は身長が低い方の歩幅に合わせるんじゃ?」
紅組 はどうしているのかと見てみると、1番デカいのは五十嵐 、1番小せぇのは・・・伊吹 姉弟みたいだが、双子のどっちが出るんだ?
まあ、あの双子の身体能力はほぼ同じみてぇだし、どっちになっても同じ・・・。
「あたし出るぅ!」
「なんでや!ねーちゃん、そんなんでもいちおー女の子なんやし、五十嵐 と抱き合って走るとかあかんやろ」
「誰がおっさんや。まだ29や」
「アラサーはおっさんやろ」
「2人3脚は抱き合うんとちゃうぞ」
結局、五十嵐と紅 ・・・ではなく、蒼 が組む事になった様だ。
お互いの足首を縛った状態で、この体育館の床に引かれた1番外側のライン上を反時計回りに走る。
だいたい200mくらいらしい。
背が低い方が内側を走った方がいいので、駿河が左、片桐が右に立ち、駿河の右足首と片桐の左足首を縛る。
「確か、8の字結びがいいと・・・え?」
ロープとか手ぬぐいとかで縛るんだと思っていた。
・・・が、にこにこ可愛い美月 が持ってきてくれたのは、手錠。
え、これでやんの?
「これで全力疾走されたら俺の足首千切れちゃう・・・」
「さすがにしませんよ・・・」
「こんなんでお縄になるなんてな・・・」
「五十嵐と違 て俺、初手錠や・・・」
4人がジャージの上から足首に手錠を嵌めようとすると、美月が無邪気に言った。
「裾、捲 ってしてね。丁寧に走るんだぞって、ぱぱが言ってたよ」
「「「「丁寧に走る、とは・・・?」」」」
美月が親父のとこに戻り、親父が耳を塞いでやると、浩太 が容赦なく空砲を撃つ。
足首に直 に嵌められた手錠で繋がり、走る2人3脚。
本人たちが必死になればなる程、その滑稽な様が見ていてかなり面白かった。
勝敗は・・・。
「紅組の勝ちぃ!」
最初はどっちももたついていたが、後半で五十嵐が蒼を片腕で抱え上げて走り、慌てた駿河が自分の足に躓いて転び・・・負けてしまった。
次だ・・・次は絶対に負けねぇ・・・!!
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