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綱引き

美月(みつき)side】 次の競技は綱引き。 麗彪(よしとら)さんたちは、並び順をどおするか話し合ってる。 「片桐(かたぎり)は重し役として1番後ろな」 「わかりました。1番前はどうします?」 「俺が()ります」 「新名(にいな)、正々堂々だっつったろ」 揉めてるけど、なんとか決まったみたい。 並び順は、麗彪さん、時任(ときとう)さん、新名さん、駿河(するが)さん、片桐さん。 (あや)ちゃんたちは、どおするのかな。 「俺が前出るわ」 「ならあたし、綾ちゃんの後ろぉ」 「俺ねーちゃんの次」 「五十嵐(いがらし)がケツ持ちやね」 「なあ、綾ちゃんの後ろは堂本(どうもと)のがええんちゃう?知らんけど」 すぐ決まったみたい。 綾ちゃん、(こう)さん、(そう)さん、堂本さん、五十嵐さんの順番だって。 片桐さんと五十嵐さんが綱の端っこを腰に巻き付けて、みんなが綱を持って・・・。 「あっ、みっちゃ・・・!」 ───パァン! おっきい音。 浩太(こうた)さんが持ってる銃の音だ。 びっくりした・・・。 「ごめん、耳塞ぐの間に合わなかった。大丈夫かい?」 「う、うん、だいじょぶ」 びっくりしたのぼくだけで、みんな頑張って綱引きしてる。 ぼくも応援しなきゃ。 ポンポンを振って、がんばれーって。 「ぜっっってぇ美月は渡さねぇっ!!」 「そら美月ちゃん次第やんっ!東より西のが美月ちゃんにはいいかも知れんしっ!!」 「美月は場所じゃなくて俺がいいんだよっ!!」 「それこそよっちゃんの勘違いかもわからんやんっ!!」 麗彪さんと綾ちゃんが、なんか叫びながら綱を引いてる。 頑張ってるのは、2人より後ろにいるみんなみたい。 でも少しずつ、綱の真ん中の印が、白組陣地の方に近付いてきてる、かな。 時任さんと片桐さんが、じりじり、引っ張ってる。 「時任さぁん!片桐さぁん!すごぉいっ!頑張ってぇ!」 「美月!俺は!?」 「美月ちゃん!俺かて頑張ってるぅ!」 「ふふっ」 2人とも、おしゃべりじゃなくて、綱引きも頑張ってね。 紅組も五十嵐さんが頑張ったけど、最後の方で時任さんと片桐さんが凄い勢いで綱を引っ張って、白組が勝った。 「くっっそぉ・・・っ!」 「綾ちゃん・・・喋ってへんで綱引いてぇな・・・もぉわし・・・しんど・・・」 「あ・・・あかん・・・僕もぉ・・・手ぇが・・・」 五十嵐さんと堂本さん、座り込んじゃった。 大丈夫? 「五十嵐さん、お水どおぞ?堂本さんも、手、だいじょぶですか?」 カンナさんといっしょに2人のとこ行って、お水とタオルを渡す。 五十嵐さんがちょっとびっくりした顔してから、にかっと笑って、ぼくの頭を撫でた。 「おーきに、嬢ちゃん!」 「おいコラ美月ちゃんに気安く触んな」 綾ちゃんが五十嵐さんの手をばしって叩いた。 だめだよ、ケンカしちゃ。 「綾ちゃん、叩いちゃだめだよ」 「うん、ごめん」 「ええ、綾ちゃんそんな聞き分け良かったん?僕の言う事なんてそんな聞いてくれへんのに・・・」 堂本さんが言った。 綾ちゃん、堂本さんの言う事も、ちゃんと聞いてあげてね?

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