293 / 300
夫婦は似てくる
【麗彪 side】
運動会の後、仕事で少し忙しくなったが、やっと休みが取れた。
美月 と2人きりが良かったが、時任 と片桐 も休みで家にいる。
「んーぅー・・・っ」
「美月?どうした・・・」
7時半。
もぞもぞと起き出したかと思ったら、俺の胸元にぐりぐりと顔を押し付ける美月。
具合でも悪いのか?
「まぁ・・・だぁ・・・ねむいぃ・・・」
「そっか。まだ寝てていいぞ?」
昨夜 、俺の帰りが遅かったのに起きて待っててくれて、その上ベッドでちょ・・・っと執拗 くシ過ぎたかもしれん。
何時に寝かせてやったんだっけ・・・。
「やぁだぁ・・・よしとぁさ・・・おやすみだも・・・」
「ああ。だからずっと寝てても・・・」
「んん"ーっ!やぁっ!」
「・・・そっか」
眠いけど、俺が休みだから起きて遊びたい、と。
寝起きにぐずるとか、可愛過ぎんだろ。
「じゃあ、起きるか?」
「んんぅー・・・やぁ・・・」
「寝る?」
「やあぁ・・・っ!」
はは、どっちなんだ。
取り敢えず、俺はトイレ行きてぇんだけど・・・。
「ちょっと待ってろ」
そう言ってベッドから出ようとしたが、美月が後ろから両手両脚でしがみ付いてきた。
まじか・・・。
「あの、トイレ行きたいんですけど?」
「んん"ぅ・・・」
「すぐ戻るんで」
「ん"ー・・・」
ええ・・・これ、脱出不可能じゃねぇか。
「美月さぁん」
「んんぅ・・・?」
「すぐ戻るってぇ」
「・・・い"やっ」
「嫌かぁ・・・」
まったく、なんでそんなに可愛いんだ。
体勢を変えぎゅっと抱きしめてから、額や頬にキスして撫でまわす。
頑 なだった表情が和 らぎ、美月の身体の力が抜けていく。
・・・よし、今だ。
「だあめえっ!」
「ははっ、だあめかぁ」
再び捕まった。
・・・ちょ、待ってくれ。
しがみ付く美月の両脚が俺の腹を締めてるんだが?
「頼む、ほんとすぐ戻るから行かせてくれ」
「・・・ぼくがイかせてって言っても、すぐイかせてくれないくせにぃ」
「それとこれとは話が別だろ」
意外と根に持つ子め。
それに、俺はちゃんと美月の限界を見極めて、完璧なタイミングでイかせてやってるぞ。
「美月の格好いい麗彪さんが、漏らしてもいいのか?」
「・・・いいょ」
「だめだろ」
そこは絶対だめだろ。
美月が漏らすのはいい。
寧 ろ美月専門の変態としては漏らしてんの見たいまである。
だが俺はだめだろ。
「なぁ、それわざと腹押してんの?意地悪だな」
「・・・おトイレ、いっしょに行ってあげる」
「・・・・・・それ、ドアの前で待っててくれるやつ?」
「・・・・・・・・・見ててあげる」
「勘弁しろ」
結局、トイレの前まで美月をくっ付けたまま行き、通りかかった片桐に預かってもらった。
抱っこを嫌がる猫よろしく暴れる美月に、さすがの片桐も手子摺 っていたが。
夫婦は似てくるって言うが、まさか俺の美月に対する変態性が、俺に対する変態性として現れるとは思わなかったな・・・。
ともだちにシェアしよう!

