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⭐︎番外編⭐︎籠ラジ 2
♪ジングル
片桐
「みなさんこんばんは。『籠の鳥の幸不幸は飼い主次第ラジオ』、略して籠ラジのお時間です」
時任
「パーソナリティの片桐と俺です」
片桐
「前回とは違い、静かで穏やかな時間をお過ごしください」
時任
「ラジオなのにそれでいいのか?」
片桐
「クラシックでも流しておけば良いのでは」
時任
「これ、音楽番組じゃねえだろ」
片桐
「まあ、実際に音楽を流す事は出来ないので、何か話しましょうか」
時任
「美月 の話すりゃいいのか?」
片桐
「そうですね。私たちが語れるエピソードとなると・・・美月くんがギャン泣きした時の話なんてどうです?」
時任
「ああ、あったなそんな事。美月って、麗彪 さんとかにはあんましないのに、麗彪さんの居ない所で俺たちには意外と我儘言ったりしてたんだよな」
片桐
「一応、雅彪 さんをパパと呼んではいますが、実質我々が両親代わりみたいなものですからね」
時任
「・・・俺が母親枠か」
片桐
「榊家 のオカンですからね」
時任
「俺がお母さんだったら良かったって、言われた事ある」
片桐
「オカアサンは榊家 では禁句になってますから、惺 ママですね」
時任
「やめろ。で、美月ギャン泣き事件の話はいいのか?」
片桐
「別に事件と言う程の事ではなかったですが・・・美月くんと、私と時任の3人で牧場に遊びに行ったんですよね」
時任
「最初は3人で手を繋いで歩いてたのに、急に「抱っこ」って言い出したんだよな」
片桐
「流れる様に抱き上げておいて、小言いってましたよね。「赤ちゃんかよ」って」
時任
「思わずな」
片桐
「美月くん、「赤ちゃんじゃないもん」って言いながらも、下りようとはしなかったですけど」
時任
「牛見て、乳搾り体験して、馬に餌やって・・・」
片桐
「ソフトクリームが気に入ったみたいで、「もっと食べたい」って駄々を捏ね始めました」
時任
「腹壊すから1個にしとけって言ったのに」
片桐
「まさかのギャン泣きでしたね」
時任
「片桐が抱っこであやして、少し落ち着いたタイミングでバター作りに連れてって」
片桐
「楽しそうで何よりでしたが・・・」
時任
「出来たてのバターをパンに塗って食べたら、眠くなってぐずり出した」
片桐
「昼寝を日課にさせていた我々が悪いのかもしれません」
時任
「だからって、そっからずーっと片桐におんぶされてたのはどうなんだ?ちゃんと自分で歩かないとだめだろ」
片桐
「眠くて転んでしまったら大変じゃないですか」
時任
「それはそれで、ちゃんと起きて歩かないと危ないんだって事がわかるだろ。まあ、転んでも地面に着く前に抱き上げるから怪我なんてさせないけど」
片桐
「美月くんだって、転んだら痛い、くらいの事はちゃんとわかってますよ。わざわざ恐い思いさせる事ないでしょう?」
時任
「恐い思いしなきゃ、何が危ないか学べないだろ」
片桐
「養育方針に差異がある様ですね」
時任
「誰も美月を叱らないから、俺が叱るしかないんだ」
片桐
「きちんとした理由があっての事なのはわかっていますが・・・美月くんを叱るなんて、とても・・・」
時任
「そうやってお父さんが甘やかすから、俺ばっかり悪者になるんだろ」
片桐
「私だって精一杯やってるんです」
時任
「精一杯甘やかしてるだけだろが。なんなら麗彪さんより甘やかしてるだろ」
片桐
「仕方ないじゃないですか、美月くんなんですから。そんな事言ってますけど、ママもそれなりに甘やかしてますよね?叱るって言っても、諭す様に言って聞かせてるだけで、端 から赦してるじゃないですか。麗彪さんにするみたいに叱った事ない癖に」
時任
「そんな叱り方したら俺だけ本当に嫌われるだろ。それに、美月はそこまで叱らなきゃならない事はしない」
片桐
「確かに」
時任
「・・・何の話してたんだっけ?」
片桐
「美月くんギャン泣き事件です」
時任
「そうだった。片桐におんぶされて、あっち行きたいこっち行きたいって俺たちばっか歩かされたんだよな」
片桐
「半分はママが誘導したんじゃないですか」
時任
「牧羊犬と羊のショーだぞ?見せてやりたいだろ」
片桐
「はい。大喜びでぐずりが治 りました」
時任
「良かったじゃねえか」
片桐
「ええ、良かったです」
時任
「その後、俺が目を離した隙にソフトクリーム買ってやってたの、まだ赦してないからな」
片桐
「買ったら歩くって言うので・・・」
時任
「そうやってお父さんばっかり美月にいい顔して」
片桐
「嫌われたくないんです」
時任
「俺だって嫌われたくねえよ」
片桐
「まあ、叱ったくらいで美月くんが我々を嫌うとは思ってませんが」
時任
「まあな」
片桐
「それで、2個目のソフトクリームを食べながら歩いて、躓 いて落としてしまって・・・」
時任
「2度目のギャン泣き・・・」
片桐
「可愛かったですね」
時任
「まあ・・・プリン買ってやるって言ったら即泣き止んだしな」
片桐
「もしかして、嘘泣きだったんでしょうか」
時任
「2度目のは、半分嘘泣きだったかもな。いつの間に嘘泣きなんて覚えたんだ・・・。でも泣き疲れたのか、その後はずっと抱っこするハメになった」
片桐
「子育てって大変ですね」
時任
「そうだな」
片桐
「・・・あ、そう言えば、ゲストって誰だったんです?」
時任
「あー・・・藤堂 か柳 じゃなかったか?」
浩太
「いえ、俺です・・・」
片桐・時任
「あ、居たの?」
浩太
「ずっと居ました・・・」
片桐
「ゲストも紹介した事ですし、そろそろお別れの時間です」
時任
「次回もお楽しみに」
浩太
「・・・えっ?俺、これだけ?マジすか?ゲストなのに扱い酷くないすか?いや、わかってますよ?俺がゲストとかショボ過ぎじゃね?って。片桐さんと時任さんと一緒に話すとか身の程を知れって言われんの承知で勇気振り絞って来たのに!別にいいっすけど!俺 不要の回だったってのはわかってますし!時任さんすげー喋ってんの珍し・・・あ、ちょ、待ってくださいよ2人とも・・・」
♪ジングル
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