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⭐︎番外編⭐︎籠ラジ 3

♪ジングル カンナ 「みなさんこんばんはぁ!『籠ラジ』の時間よぉ!本日のパーソナリティは、あ・た・し、カンナと」 莎草(ささめ) 「何で俺なんだ・・・つか、俺なんかでいいのか?」 カンナ 「あたしも何で莎草なのかわかんないわ。美月(みつき)ちゃんとが良かったぁ」 莎草 「ですよね。俺、あんま嬢ちゃん・・・若の嫁さんと関わってねえし、ネタがねえんだが」 カンナ 「なんなら榊家(うち)で唯一「()なヤツ」認定されてたしね」 莎草 「そこまでじゃありませんよ!「失礼でちょっとやな人」って・・・地味に傷付くよな・・・神に嫌われた男、か・・・」 カンナ 「異世界転生で即死ぬヤツよねぇ」 莎草 「なんで極道(やくざ)のスパイのおっさんが異世界転生すんですか」 カンナ 「さて、医者とスパイでお送りするのも限界があるので、ゲストをお呼びしましょ!誰かしら・・・」 (あや) 「おこんばんはぁ!綾ちゃんやでぇ!」 カンナ・莎草 「え!?」 綾 「なんや、明白(あからさま)に嫌な顔するやん。カンナちゃん久しぶりぃ。莎草のおっちゃんも、あん時は世話んなったなぁ」 莎草 「はい、大変でしたよ。九十九(つくも)の若頭が予告なく東京(こっち)来るのやめてもらえます?隠蔽(うやむやに)するのも限度ってもんがあるんですよ」 綾 「鬼ごっこん時は前もって連絡したやん」 莎草 「当たり前ですよ!つか、あの時だって具体的な内容全然話してくれなかったじゃないですか。後追いしながら誤魔化すの大変だったんですからね」 綾 「せやからちゃちゃっと済ませたやん。証拠も残さへんかったしぃ」 莎草 「はぁー・・・」 カンナ 「莎草(あんた)も苦労するわね」 綾 「ほんで?美月ちゃんの話やんな?」 カンナ 「別に美月ちゃんの話じゃなくてもいいのよ?(よし)(とら)くんの話したって・・・」 綾 「よっしゃ、美月ちゃんの話しよ」 莎草 「まあ、そうなりますかね」 綾 「俺、ちょっと気になっててん。美月ちゃんて、倫理観どないなっとんの?」 カンナ 「そぉねぇ・・・正直、カタギとはずれてるかもしれないわね。美月ちゃんの倫理観って、麗彪くんとこ来てから(はぐく)まれたものだし。法律についてはきちんと話した事ないだろうから、極端に言うと殺人が罪って認識もないかもしれないわ」 莎草 「それはどうなんだ・・・ちゃんと教えてやった方が・・・」 綾 「ええやん、そのまんまで。殺しが趣味(シリアルキラー)みたいなんを良しとするんはあかんけど、理由があっての殺しなら、あの子赦してくれんちゃう?」 カンナ 「あ、榊家(うち)では美月ちゃんの前で「殺す」とか「殴る」とか言うの禁止だから」 綾 「オカアサン以外にもあったやん、禁句」 莎草 「いつか殺し(それ)も嬢ちゃんにバレるんじゃ・・・」 カンナ 「あんたが口滑らせなきゃ大丈夫よ」 莎草 「嬢ちゃんの前では貝になります」 綾 「美月ちゃんなぁ・・・なんとなくやけど、知っとんのやないか思うねん」 カンナ 「何を?」 綾 「俺らが人殺しとんの」 カンナ 「ちょっと、あたしは殺した事ないわよ。救えなかった事はあっても」 莎草 「救えなかったじゃなくて、救わなかったの間違いでは・・・?あと、死因の詐称も(れっき)とした犯罪です。あ、(ちな)みに俺は直接手を下した事はありませんよ」 綾 「なに()うとんねん。えらいえげつない方法で(ほうむ)ってきた癖に」 莎草 「それでも俺の手はキレイなままです」 綾 「うっざ」 カンナ 「美月ちゃん、気付いてるのかしら・・・だとしたら、片桐(かたぎり)新名(にいな)は複雑でしょうね。雅彪(まさとら)さんなんて母親殺しちゃってるし・・・泣くんじゃないかしら。ちょっと見てみたいわ」 莎草 「雅彪さんが泣くなんて有り得ませんよ」 綾 「いや、あの人は泣くやろ。まぁ、親父さんがオカアサン殺したん知っても、美月ちゃんは軽蔑したり恐がったりせぇへんやろな。なんやったら、そんな事させてごめんね、とか()うて泣くんちゃう?オカアサンがどぉなろぉと美月ちゃんは意外とどぉでもえぇんやろけど、パパの手を汚させたんを悲しむんやないかなぁ」 カンナ 「・・・確かに。だったら尚の事、オカアサンを始末した事は黙っておかないとね」 綾 「美月ちゃんには、オカアサンどないなっとんか、何て()うとるん?」 カンナ 「遠くに()って、二度と戻って来ないって言ってあるわ」 綾 「それで納得しとん?」 カンナ 「二度と戻って来ないなら、いいみたいよ。何処(どこ)にどうやって行ったのかは、まったく気にならないみたいだったし」 綾 「・・・やっぱ、わかっとんのやろな。死んだって」 莎草 「普段警察(サツ)として生活してる俺から言わせてもらうと、嬢ちゃんの情操が心配です。母親が殺されたとわかってて気にしないって、(まず)くありまんか?」 カンナ・綾 「拙くない」 莎草 「・・・あ・・・そう・・・?」 綾 「美月ちゃんはそれでもえぇねん。しゃぁないやん、15年間母親に監禁虐待されてたんやで?せやのにあの可愛さと優しさと尊さ!お前、15年間耐えられるか?反撃を一切許さない一方的な暴力に。耐えた上で、あんな天使でいられるんか!?」 莎草 「すみませんでした!俺が間違ってました!嬢ちゃんは(まご)う事なき天使であり、榊家(うち)の神様です!」 綾 「せやろ!そもそも美月ちゃんの倫理観はずれとるんやない!神に人間(ひと)の倫理観を求めるんが間違っとんねん!」 莎草 「仰る通り!」 カンナ 「ちょ・・・落ち着きなさいよ2人とも・・・変な宗教みたいよ・・・?」 綾 「美月ちゃん(G o d d e s s)を崇めよ!!」 莎草 「美月様!!」 カンナ 「やめなさいってば!」 綾・莎草 「い"ったぁ!?」 綾 「ぼーりょくはんたーい!」 莎草 「嬢ちゃんが知ったら悲しみますよ!「カンナさんが莎草さんを殴るなんて・・・」って」 カンナ 「莎草(あんた)殴ったって言ったら褒めてくれるわよ。失礼でちょっとやな人なんだし」 莎草 「俺、泣いていいですか・・・」 綾 「俺ん事は心配してくれるやろなぁ。どこぶたれたの?痛い?撫でてあげるねって」 カンナ 「美月ちゃんで妄想すんのやめて」 莎草 「真面目に嬢ちゃんの倫理観について話してたはずなのに・・・いつの間にかGoddess信仰に・・・」 綾 「ほな、奉納金集めんでぇ」 カンナ 「それでは、次回もお楽しみにぃ!」 ♪ジングル

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