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おかえりなさい

麗彪(よしとら)side】 「麗彪さん、それって雅彪(まさとら)さんのコレクションなんじゃないですか?」 助手席の駿河(するが)が、俺の手にしている戦利品を見て心配そうに聞いてきた。 この戦利品は確かに、親父の部屋にあった親父の大事にしているであろうコレクションの中の一つだった物だ。 因みに、雅彪は俺の親父の名前。 「どーせ飾ってるだけだろ。一つぐらい無くなっても気付かねえよ。それに、コイツだって親父なんかより、美月(みつき)のもんになった方が幸せだ」 「そりゃ、美月くんに遊んで貰えるならソレも本望でしょうけど・・・まあ、きっと誰かが代わりに理不尽に殴られれば済む事ですね。俺は何も知らなかった事にしときます」 「俺も」 何だ時任(ときとう)まで。 あんな親父の何処が恐いんだ。 親父が恐くて息子なんかやってられるか。 「あ、雅彪さんに美月くんの事、言わなくて良かったんですか?養子縁組するならするで、雅彪さんにもちゃんと紹介しないと・・・」 「・・・ち」 美月を不特定多数の目に曝すのは嫌だ。 例え親父であっても。 いや、親父だからこそ会わせたくねえ。 絶対拐われる。 「・・・ガラス越しに会わせるか」 「ムショで面会させる気ですか。美月くんを取られたくないからって、さすがに雅彪さんを刑務所送りにするのは不可能ですよ」 「Skype(スカイプ)でモニター越しにすればいいじゃないですか」 「よし、それ採用」 親父と美月の会わせ方が決まったところで、マンションの地下駐車場に着いた。 専用エレベーターに乗り込んだ途端、未だかつて体感した事のないそわそわ感に襲われる。 このエレベーターが最上階に着いたら・・・ドアが開いたら・・・美月が待ってる・・・。 美月・・・美月・・・美月、美月みつきみつきみつき・・・。 「麗彪さん、すぐ部屋に着きますから落ち着いてください」 「べ別に、落ち着いてる、何言ってんだ」 「今、一瞬噛みましたね」 うるせえよ。 あーもうさっさと着けよ! 「おかえりなさいっ!」 エレベーターのドアが開いたと同時に、俺の腕の中に天使が飛び込んでくる。 ずっと求めていた美月を強く抱き締め、俺は天国に来たんだと確信した。

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