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知らない人

美月(みつき)side】 今日も、ぼくは、おるすばん。 でも、おやつまでには帰ってくるって、麗彪(よしとら)さん言ってた。 だから、とらきちといっしょに、テレビ見てる。 どうぶつがいっぱい出てくる、えいが。 おるすばんの時に見てねって、駿河(するが)さんが買ってくれてた。 おっきいトラが出てくる。 森のおくのひみつのばしょで、水あびするんだって。 きもちよさそおにしてて、麗彪さんも、おふろ入ってる時、おんなじかおしてたって思った。 「・・・麗彪さん・・・・・・」 今日も、およう服、かしてもらっちゃった。 おっきくて、ぶかぶかだけど、麗彪さんのにおいがして、安心する。 「とらきちも、おふろいっしょに入る?」 とらきち、おふろきらいかなぁ。 水あびがおわって、森の中を歩いてるトラを見てたら、ドアがあく音がした。 麗彪さん、帰ってきた! 「麗彪さんおかえりなさ・・・っ」 だれ・・・? 知らない人がいて、ぼくのこと、びっくりしたかおして見てる。 ここ、麗彪さんと駿河さんと時任(ときとう)さんしかあけられないドアなのに、どおして・・・。 「ええと・・・こんにちは、お嬢ちゃん」 「・・・ぁ、こ、こん、にちわ・・・」 おじょうちゃん・・・それって女の子のこと? ぼく、女の子じゃないのに・・・。 「ぁの、ぼ、ぼく・・・」 「お嬢ちゃん、ここで何してるの?」 「ふぇ?・・・ぇと、おるすばん、です・・・」 この人、やさしいけど、こわいかんじがする・・・。 どおしよ、麗彪さん、はやく帰ってきて・・・! 「お留守番かあ。じゃあ、ここに住んでるの?」 「ぁ、あの、す、すんで、ます・・・でも、ここ、麗彪さんのおうちですっ」 だから、かってに入っちゃだめですっ! かってに入っちゃった、ぼくよりずっと大きい知らない人。 しゃがんで、ぼくより小さくなって、またしつもんしてきた。 「麗彪さんと住んでるの?麗彪さんに、恐い事とか痛い事、された?」 こわいこととかいたいこと・・・? 麗彪さんは、そんなことしないよ。 「麗彪さんはやさしいですっ!ぶったりしませんっ!」 「そうか、良かった。実はね、おじさん探し物を頼まれてて、ここにあると思って探しに来たんだけど・・・じゃあ、麗彪さんが帰って来るまで、お嬢ちゃんといっしょにお留守番をしようかな」 おじさん、が、にこってわらった。 あれ、こわいかんじ、しなくなった・・・? 「おじさんは片桐(かたぎり)っていいます。お嬢ちゃんのお名前は?」 「ぼく、美月です。かたぎりさん・・・ぇと、麗彪さんが言ってた、おそうじやさん、ですか?」 駿河さんがたまに、かたぎりをよびますよって言ってて、麗彪さんにきいたら、おそうじやさんだって言ってた。 おそうじしにきたの、かな。 「あの、ぼく、おそうじおてつだいできますっ!・・・ぁ、でも、時任さんがおそうじしちゃったから、もおやるとこ、のこってないです・・・」 麗彪さんのとこにきてから、おそうじも、おせんたくも、してない。 あさ、麗彪さんがぼくをぎゅってしてて、はやく起きれないから。 ・・・でも、ぎゅってしててほしくて、そのままにしてるのは、ぼく。 「はは、そうか、残ってないか。じゃあ美月ちゃんは何をしていたの?」 「どうぶつのえいが見てました。かっこいいトラが出てくるんですよ!」 かたぎりさんも、どうぶつのえいが見たいって言って、麗彪さんが帰ってくるまで、いっしょにおるすばんすることにした。 麗彪さん、はやく帰ってくるといいな・・・。

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