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恋人

美月(みつき)side】 麗彪(よしとら)さん、おでかけしちゃった・・・。 ぼくは、また、おるすばん。 でも今日は駿河(するが)さんがいっしょだから、いつもよりさみしくない。 「麗彪さん、だいじなお仕事、ですか?」 「うん?まあ、そうだね、パーティーに出席するのも大事な仕事なんだよ」 ぱーてぃー・・・? じしょには、社交のための会合、って書いてあった。 しゃこう・・・? ・・・人々が集まって交際すること。 かいごう・・・? ・・・集まり、集会。 えっと・・・パーティーは、人が集まって交際すること、なのかな。 こうさい・・・? ・・・人、国どうしがつきあうこと。 麗彪さんは人だから、パーティーで集まった人たちとつきあうってこと、かな。 つきあうって、手でおしあうってことだよね。 いたくないのかな・・・楽しいのかな・・・。 「麗彪さんは、お仕事だから、パーティーにあつまった人と、つきあうんですか?」 「ええっ?いや、付き合わないよ絶対、だって美月くんがいるし~・・・って、その手を押し出すジェスチャーはなあに?可愛いけど、もしかして突き合うだと思ってる?違うよ、付き合うって言うのは、ええと・・・恋人になるって事だよ」 「こいびと・・・」 じしょでしらべる。 こいびと・・・恋人、恋の思いをよせる相手。 こい・・・? 恋・・・異性に愛情を寄せること、その心、恋愛。 いせい・・・? ・・・男女、雄雌の性を異にするもの。 「おすめす・・・?」 あと、あいじょう、れんあい・・・って? どんどん知らない言葉が出てきちゃう・・・。 「あ、それは動物の男女の事だから、また今度勉強しましょうね~。つまり恋人って言うのは、美月くんと麗彪さんみたいな、お互いを大好きな2人って事だね」 ぼくと、麗彪さんみたいな・・・。 ・・・でも、ぼく、女の子じゃ、ない・・・。 「・・・ぁの、パーティーって、女の子も、いますか?」 「あー・・・、その、いるけど、麗彪さんは大丈夫だよ?美月くんがいるからね?」 麗彪さんは、だいじょおぶ? どおして? 麗彪さんは男の人だから、パーティーに女の子がいたら、その人と恋人にならなきゃいけないんじゃないの? ぼくはパーティーにいないし、いても、女の子じゃないから・・・。 「み、美月くん、泣かないでっ、大丈夫だからっ!あの、じゃあ、美月くんもパーティーに行く?」 「ふぇ・・・?」 ぼくも、パーティーに行っていいの? でも、女の子じゃないし、麗彪さんのだいじなお仕事のじゃまになっちゃわないの? 「俺はね~美月くんをパートナー・・・恋人として連れて行くと思ってたから、美月くんのスーツも用意しておいたんだよ?なのに麗彪さんが美月くんを独占したがるから・・・」 「スーツって、麗彪さんがきてたみたいな?」 「そ~、あんな真っ黒じゃないけどね~」 でも、それじゃ男の子のかっこだから、パーティーで恋人になれない・・・。 麗彪さんが、ほかの女の子と恋人になっちゃう・・・。 そんなの、やだ。 「ぉ・・・女の子のかっこ、して行っちゃ、だめ、ですか・・・?」 「大丈夫そっちも用意してあるから!お姫様にしてあげるよ!」 「おひめさま・・・!」 駿河さんにてつだってもらって、ピンクのひらひらでふわふわなドレスを着た。 白いもふもふの、ボレロってゆうのも着て、白くてあったかいコートも着て・・・。 ・・・おけしょうも、した。 くちべに、やだけど、駿河さんが赤いのじゃないやつにしてくれたから、がまんできた。 これで、女の子に見える、かな・・・。 麗彪さんの恋人・・・ぼくでも、なれるかな・・・。 「さあ出発~!」 「しゅっぱつ~!」 駿河さんの車、はじめて乗った。 赤くてかっこいい! アウディー、だって。 名前もかっこいい! いつも乗ってる黒い車とマークがちがうの。 いつも時任(ときとう)さんがうんてんしてくれる黒い車は、ベンツエスクラス? ベンツエスクラスも、大きくてかっこいい。 あと、麗彪さんのと、時任(ときとう)さんの車もあるんだって。 こんど、見せてもらえるかな・・・。 そんなこと思いながら、うしろの席でまどの外を見てた。 麗彪さん、まだだれともつきあってないよね・・・? 間に合うといいな・・・。

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