42 / 70
恋人
【美月 side】
麗彪 さん、おでかけしちゃった・・・。
ぼくは、また、おるすばん。
でも今日は駿河 さんがいっしょだから、いつもよりさみしくない。
「麗彪さん、だいじなお仕事、ですか?」
「うん?まあ、そうだね、パーティーに出席するのも大事な仕事なんだよ」
ぱーてぃー・・・?
じしょには、社交のための会合、って書いてあった。
しゃこう・・・?
・・・人々が集まって交際すること。
かいごう・・・?
・・・集まり、集会。
えっと・・・パーティーは、人が集まって交際すること、なのかな。
こうさい・・・?
・・・人、国どうしがつきあうこと。
麗彪さんは人だから、パーティーで集まった人たちとつきあうってこと、かな。
つきあうって、手でおしあうってことだよね。
いたくないのかな・・・楽しいのかな・・・。
「麗彪さんは、お仕事だから、パーティーにあつまった人と、つきあうんですか?」
「ええっ?いや、付き合わないよ絶対、だって美月くんがいるし~・・・って、その手を押し出すジェスチャーはなあに?可愛いけど、もしかして突き合うだと思ってる?違うよ、付き合うって言うのは、ええと・・・恋人になるって事だよ」
「こいびと・・・」
じしょでしらべる。
こいびと・・・恋人、恋の思いをよせる相手。
こい・・・?
恋・・・異性に愛情を寄せること、その心、恋愛。
いせい・・・?
・・・男女、雄雌の性を異にするもの。
「おすめす・・・?」
あと、あいじょう、れんあい・・・って?
どんどん知らない言葉が出てきちゃう・・・。
「あ、それは動物の男女の事だから、また今度勉強しましょうね~。つまり恋人って言うのは、美月くんと麗彪さんみたいな、お互いを大好きな2人って事だね」
ぼくと、麗彪さんみたいな・・・。
・・・でも、ぼく、女の子じゃ、ない・・・。
「・・・ぁの、パーティーって、女の子も、いますか?」
「あー・・・、その、いるけど、麗彪さんは大丈夫だよ?美月くんがいるからね?」
麗彪さんは、だいじょおぶ?
どおして?
麗彪さんは男の人だから、パーティーに女の子がいたら、その人と恋人にならなきゃいけないんじゃないの?
ぼくはパーティーにいないし、いても、女の子じゃないから・・・。
「み、美月くん、泣かないでっ、大丈夫だからっ!あの、じゃあ、美月くんもパーティーに行く?」
「ふぇ・・・?」
ぼくも、パーティーに行っていいの?
でも、女の子じゃないし、麗彪さんのだいじなお仕事のじゃまになっちゃわないの?
「俺はね~美月くんをパートナー・・・恋人として連れて行くと思ってたから、美月くんのスーツも用意しておいたんだよ?なのに麗彪さんが美月くんを独占したがるから・・・」
「スーツって、麗彪さんがきてたみたいな?」
「そ~、あんな真っ黒じゃないけどね~」
でも、それじゃ男の子のかっこだから、パーティーで恋人になれない・・・。
麗彪さんが、ほかの女の子と恋人になっちゃう・・・。
そんなの、やだ。
「ぉ・・・女の子のかっこ、して行っちゃ、だめ、ですか・・・?」
「大丈夫そっちも用意してあるから!お姫様にしてあげるよ!」
「おひめさま・・・!」
駿河さんにてつだってもらって、ピンクのひらひらでふわふわなドレスを着た。
白いもふもふの、ボレロってゆうのも着て、白くてあったかいコートも着て・・・。
・・・おけしょうも、した。
くちべに、やだけど、駿河さんが赤いのじゃないやつにしてくれたから、がまんできた。
これで、女の子に見える、かな・・・。
麗彪さんの恋人・・・ぼくでも、なれるかな・・・。
「さあ出発~!」
「しゅっぱつ~!」
駿河さんの車、はじめて乗った。
赤くてかっこいい!
アウディー、だって。
名前もかっこいい!
いつも乗ってる黒い車とマークがちがうの。
いつも時任 さんがうんてんしてくれる黒い車は、ベンツエスクラス?
ベンツエスクラスも、大きくてかっこいい。
あと、麗彪さんのと、時任 さんの車もあるんだって。
こんど、見せてもらえるかな・・・。
そんなこと思いながら、うしろの席でまどの外を見てた。
麗彪さん、まだだれともつきあってないよね・・・?
間に合うといいな・・・。
ともだちにシェアしよう!