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あいしてる
【美月 side】
パーティーから帰ってきて、麗彪 さんとおフロに入った。
車の中でねちゃったから、ねむくなくて、このまえ買ってもらった絵本をよんだ。
サンタクロースが出てくる絵本。
サンタさんは、クリスマスの夜に、いい子にプレゼントをくれるんだって。
クリスマスもプレゼントも、知らなかったから、じしょでしらべた。
クリスマスは、12月25日でイエスキリストの降誕祭・・・こうたんさいは、降誕の日を祝う祭り、特にクリスマス、だって・・・。
むずかしくて、よくわからない。
でも、12月25日がクリスマスっていう日ってことはわかった。
プレゼントは、贈り物、贈り物をすること・・・おくりものは、相手への気持ちを表すために贈る品物、だって。
「12月25日って、いつ?」
「来週・・・あと6日だな」
「あと、むいか・・・」
絵本の中で、イジワルなネコさんはサンタさんからプレゼントをもらえなかった。
ぼく・・・サンタさんにプレゼント、もらったこと、ない。
・・・やっぱり、ぼくは、いい子じゃないんだ・・・。
「美月、何で泣きそうな顔なのかは想像つくが、美月はいい子だぞ。たぶんサンタは、美月の家が見つけられなかったんだ。ここならサンタも知ってるだろうから、今まで渡せなかった分のプレゼントをまとめて持ってくるかもしれないな」
「・・・っ、ほんとぉ・・・?」
「俺が嘘ついた事あるか?」
「ないっ!麗彪さん大好きっ!」
絵本で、プレゼントをもらえなかったネコさんも、お友だちにちょっとずつ、プレゼントをわけてもらって、いっぱいのプレゼントになってた。
お友だちに、ありがとうって言えたから、さいごにサンタさんも、いい子になったネコさんにプレゼントをあげてた。
「麗彪さんも、サンタさんにプレゼントもらえるよね?麗彪さん、やさしいもん!」
「俺はもう大人だから、サンタは来ないよ。美月だけ。で、美月は何が欲しいんだ?欲しい物を手紙に書いとくと、サンタもプレゼント選びやす・・・」
「・・・ぼく、プレゼント、いらない」
麗彪さんに、どおしてプレゼントくれないの?
ぼくの大好きな麗彪さんに、どおして・・・?
「いらないって・・・何でなのか教えてくれるか?」
「だって・・・っ、麗彪さんにプレゼントくれないの、ひどい・・・ぼくじゃなくて、麗彪さんにプレゼント、あげてほしい・・・っ」
ぼくがまた泣いちゃったら、麗彪さんがぼくを持ち上げて、ひざの上に座らせてくれた。
麗彪さんとむかいあわせで、ぎゅうってしてもらう。
ぼく、こおやってしてもらうの、いちばん好き。
「俺は、早めに貰ったんだよ、プレゼント」
「ほんと?いつ?」
「10月7日。俺も今までの分をまとめて貰ったんだ。サンタがやっと見つけてくれて、その日に逢いに行って、連れて帰ってきた」
「10月・・・なのか・・・ぼくが・・・麗彪さんとあった日・・・?」
麗彪さんは、やさしく笑って、ぼくにキスしてくれた。
じゃあ、ぼくが、麗彪さんの、プレゼント・・・なの?
「手紙に書いたんだ、美月が欲しいって。一生大切にしますって。だから、俺はもう貰ったんだよ」
麗彪さん・・・好き・・・大好き、だいすき・・・っ!
・・・あいしてる。
パーティーに行く前、麗彪さんがぼくに言ってくれた言葉。
あいしてる、は知ってた。
おかあさんに、おしえてもらった。
あいしてるから、なんでもするんだって。
・・・ぼくのことは、あいしてくれなかったけど。
「じゃあ、クリスマスになったら、ぼくから麗彪さんにプレゼント、するね」
「ああ、楽しみにしてる」
ぼく、麗彪さんのためなら、なんでもする。
がんばってするから・・・麗彪さん、よろこんでくれると、いいな・・・。
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