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26話

「なー、椿屋、これなに?」 大型商業施設で子供みたいにはしゃぐ伊佐坂。 「そうめん流しですね」 椿屋に見せたものは家庭用のそうめん流し機。 「えー、家で出来んの?」 「できますよ」 「えー、やりたいやりたい!!」 はしゃぐ伊佐坂だが、彼がやりたいと口にするとイヤらしく感じるのは自分だけかと、椿屋は思う。 「分かりました」 椿屋はカートにそうめん流し機も入れる。 「綿あめ作るやつあるぞ!」 神田が遠くから手招きする。 綿あめ作る機械があった!と聞いた伊佐坂はまるで散歩行こう!と言われた犬のようにキラキラした瞳で走っていく。 子供だ……ああいう所は完全に子供だ。 しかも、可愛い。 「かき氷機もあるぞ椿屋」 伊佐坂の後ろからやってきた椿屋に言う。 「えっ!かき氷機!!」 目がキラキラだ。キラキラ過ぎて眩しい。 「椿屋、これも欲しい!」 キラキラした瞳で訴えるられる。 くっーーー!!くそう!なんてキラキラ光線出してくるんだよ、この人!! でも、予算オーバー。 「そうめん流し機を諦めるなら買えます」 「えっ?嫌だ!」 「嫌だって言っても予算が……」 「なんだよお!いいじゃん!買っても!お前の得意の領収書切ればいいだろ?」 「領収書って……経費に認められないでしょーが!ねえ?神田さん?」 椿屋はチラリと神田を見る。 「神田、ちょっと来い!!」 伊佐坂は神田を連れて遠くに行く。 何しに行くのだろうか?は見当がつく。たぶん……神田に買わせる気だろうな……原稿を人質に。 遠くに離れているので、神田の心の声は聞こえない。聞こえないというか周りのざわつく声と心の声で余計にうるさいのだ。 特にこういう子供が居る所は。 ……子供は心の声と口にする言葉は変わらないけれど、一緒に居る親の言葉と心の声は正反対。 駄々こねてなく子供を慰めているが『あー、もう、これだから子供産みたくなった』と聞きたくない声も聞いてしまう。 笑顔の人程、中身が違う。 嫌になる時もあるが……自分も口にする言葉と心の声は違うものだから、仕方ないと思っている。 交互に聞こえてくる嘘と本音は……気にしないようにしている。そうでもしないと気がふれてしまうから。 しばらくすると伊佐坂が戻って来た。 「そのカート貸せよ、神田が全部買ってくれるそうだ」 上機嫌の伊佐坂に「は?本気です神田さん!」と驚く。 「良いってさ」 伊佐坂は綿アメ機とかき氷機に流しそうめんの機械を乗せたカートを持って神田の所へ。 椿屋は離れた所から見ていると、本当に神田はレジへと向かった。 マジかあ!!何言ったんだよおお先生いい!! 何を交換条件に買わせたのか気になる椿屋だった。

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