『ラブ、大盛つゆだくで』 しおり100 over 感謝SS.。*゚+.*.。
いつも閲覧ありがとうございます。
現在、しおりを挟んで読んでくださっている読者様が
なんと100名を超えていらっしゃるということで、
遅くなりましたが、感謝の気持ちを込めて
ショートストーリーを書かせていただきました。
相変わらずのバカップルですみません。
ただ今、本編の最新話の方がすれ違いにより若干しんみりとした空気になっているので
こちらではラブラブの二人のお話で、欲求不満を解消したいと思います?
早くイチャイチャする話が書きたい…!もどかしいっ!
いつも拙い作品を読んでくださり、本当に本当にありがとうございます。
これからも、よろしくお願いします♡
一応、以前投稿したSSもコチラにまとめておきます。
【お礼SSログ】
●累計リアクション300 over 感謝SS
https://fujossy.jp/notes/22639
●累計リアクション500 over 感謝SS
https://fujossy.jp/notes/22992
それでは、どうぞ!
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「牛丼、並盛で」
いつもの牛丼屋で、牧が注文をする。
しかしそのメニューがいつものメニューではなかったため、鳴海はもちろん、お馴染みの外国人店員すらも思わず「えっ」と驚きの声を上げた。
「どうしたの、牧さん。具合でも、悪いの…?」
「いつもはガツガツ、大盛の牛丼食べるのに…。一体どうしたんデスカ?」
鳴海と牛丼屋の店員二人同時に問い詰められて、牧は一瞬たじろぐ。
「……何だよ、俺が並を頼んじゃ悪いかよ」
「そういうわけじゃないけど…」
「デモ、すごく変。こんなコト、この店営業史上、初めてデス…」
お前ら俺を何だと思っているんだ、と牧は口を尖らせ、そっぽを向いてしまう。
結局、鳴海も牧と同じ並盛を注文し。
店員は「明日は雪でも降るカモ…」と冗談を言いつつ、厨房へと引っ込んだ。
「牧さん……」
本当にお腹でも痛いのかもしれない、と鳴海が心配して声をかけると。
牧は、顔を少し赤くして恥ずかしそうに言った。
「…………太ったんだよ」
「え?」
「だから! 最近、ちょっと太ったから、食べる量を少し減らそうかな…って…」
徐々に消え入りそうな声で、牧は言う。
事実、鳴海と一緒に食べるごはんが美味しくて近頃つい食べ過ぎてしまったのもあって、体重は少し増加傾向にあった。
「気にし過ぎだよ、牧さん。全然太ったように見えないし、昨日もお腹触ったけどちゃんと引き締まってたし」
「気休めはいいんだ、鳴海…。体重計は、嘘つかない……」
はぁ、と牧は大きな溜め息をつく。
同じアラサーでも、鳴海はまだ20代なのに対し、自分は既に30代の仲間入りで。2歳しか違わないけれど、この差は思ったよりも大きいらしい。
そこへ牛丼が到着して、いつもより一回り小さいどんぶりが目の前に置かれる。
本気でダイエットするつもりならこんなものすら食べてはいけないんだろうが、好きなのでどうしてもつい食べたくなってしまい。結局、量を変更するという形で自分自身を納得させたのだった。
「ほら。夏物の服って、体のラインが出やすいだろ。だから、いい加減ダイエットしないとなーって思ってさ…」
牧はアパレル店員なのもあって、見た目には人一倍気を遣っているようだ。
服屋で働く店員は言わば歩くマネキンだと主張し、常に客の見本になるようなスタイルを保たねばならないと、自ら意識を高くしているらしい。
案外、牧は仕事に対してこういうストイックなところがあったりする。
「同じ駅ビルの中にスポーツジムがあるから、通ってみようかなぁ…。んー、でもなぁ…」
「?? 何か気になることでもあるの?」
「……だって仕事帰りに寄ったりしたら、鳴海と会う時間が減っちゃうじゃん」
「……っ!」
可愛すぎる発言を不意打ちで食らい、鳴海は一人悶絶する。
まさかチェーン店の牛丼屋でこんなにときめくことがあるとは思わなかった、とスプーンを持つ手を震わせる。
「それじゃあ…。今度一緒にランニングでもする?」
「えー。でも今の季節、外走るの暑いじゃん」
「夜だったら、涼しくなってると思うよ」
「そうかもしんないけど…。鳴海はただでさえ立ちっぱなしの仕事なのに、俺につき合わせて足疲れさせるのも悪いっていうか…」
そんなこと気にしなくていいのに、と鳴海は笑って言うが、牧は自分のせいで鳴海の体に負担をかけてしまうのはどうしても気が引けた。
何かいい案はないだろうか、と考えを巡らせていると。
「あっ、そうか! その手があったか!」
牧が何かをひらめいたらしく、漫画のように手をポンと叩いた。
「今度から、俺が鳴海の上に乗っていっぱい動けばいいんだ!」
まさかの衝撃発言に、鳴海は口に入れていたご飯を喉に詰まらせた。
鳴海がゴホゴホと咳き込んでいる横で、牧は目をキラキラと輝かせて。
「これなら二人一緒の時間も過ごせるし、俺は運動して痩せられるし、鳴海は疲れないし。ついでに部屋の中だから、エアコンで涼しいし」
俺って頭いい! と満面の笑みを見せた。
上に乗るというのは、もちろんセックスのときの体位の話をしているのだろう。
騎乗位の体勢で厭らしく腰をくねらせる牧の姿を想像してしまい、鳴海は自身の顔が熱くなるのを感じた。
「…………ま…牧さんが、それでいいなら…」
「よーし、それじゃ今夜から早速始めるか。鳴海、この後うち来るだろ? 早くこれ食べて、カロリー消費しないとなっ」
すっかりヤる気満々になった牧は、牛丼をいつものように豪快に口の中へかき込んだ。
鳴海も、今すぐ牧の肌に触れたくなってしまい、つい気持ちが急ぐ。
甘い食後のデザートは、すぐ手の届くところにあるけれど、家に着くまでお預けだ。
「…牧さん。もし途中で疲れたら俺いつでも替わるから、無理しないでね」
「鳴海……」
お互い、熱い眼差しで見つめ合っていると。
「お二人サン、盛り上がってるトコ悪いケド…。まだワタシがいることも、忘れないでネ……」
「「…………あ」」
牛丼屋の店員が恥ずかしそうに、二人に向かって言った。
【連載中】『ラブ、大盛つゆだくで』(※R18)
https://fujossy.jp/books/17547