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「修二さん……、面白い?」  飯を食ってからぼんやりテレビを見ながら、俺はソファの隣に座る修二さんに聞いた。なんか文庫本を読んでたからだ。 「んー、まあもう読んだことあるやつだからな」  それほどこだわりもないような感じで本を閉じたのを見て、俺は修二さんを抱きしめた。 「じゃあ俺のこと構って」  くすくす笑いながら修二さんも俺の背中に手を回してきた。 「どうした?」 「修二さんを独占したい」 「もうしてるだろ」 「もっと」  俺は修二さんの口元に小さく、たくさんキスを落とした。 「俺の修二さん」  そう呼びながらそっと、修二さんが着てたシャツの中に手をひそませる。 「……ん、ぁ」  小さく熱いため息が漏れた。初めてした時よりも、ずっと感じやすくなったと思う。俺はそんな態度に気を良くして、修二さんの座っているソファの前に座り込んだ。  目の前に来たズボンのファスナーを開けて、そっと撫で上げる。それだけで勃ち上がってきたそれにさらに気を良くして、俺はそれに唇を寄せる。俺が口に咥えると、また修二さんが熱い息の混じったため息を漏らした。  初めてフェラしたのはいつだっけ? 覚えてないけど、付き合い始めのころは俺もちょっと抵抗があったと思う。修二さんは大好きだけど、男とセックスすんのは初めてだったから。  最初のころはとにかく突っ込みたくて、修二さんに突っ込ませていただいてた、って感じだった。  今もそういう気持ちがないってわけじゃないけど。でも修二さんにも気持ち良くなって欲しいなって思うから。  ちらりと上を伺うと、修二さんは眉をひそめて辛そうな顔をして唇を噛んでた。整った修二さんの顔が上気して乱れた髪が汗で首筋に張り付いて、すっげえ色っぽい。  気持ちいいんだ。  俺はそれに安心して、ズボンを脱がせながら脚をソファに乗せて大きく開かせると、そっと後ろの方にローションで濡らした指を入れた。俺が帰って来る前に、たぶん準備してくれてたその場所に。 「……冬吾……ッ!」  びくり、と修二さんの体が揺れて、一瞬締め付けられた。それでもいいところを探す。だいたいもうわかるから。 「……あ、や、そこばっか、さわんな……ッ」  修二さんのアレはもうガチガチだ。俺のもだけど。俺は中を指で擦りながら、もう先からあふれ出してる透明な液を舐める。  いやらしさを必死で抑えようとしてるのに、俺の目の前で恥ずかしいところを全部見せてくれてるのに興奮が止まらない。恥ずかしいって思いながら、俺がやりやすいように脚を開いてくれてるんだ。その恥ずかしそうな表情がたまらなくて、今すぐ俺のでぐちゃぐちゃに乱れさせてやりたい。 「冬吾ぉ、も、無理……っ」  修二さんの切なげな声に俺もちょっともう無理。大人の仮面を捨てて、性欲に流されて俺に訴えてくる修二さんはめちゃくちゃかわいい。震えながら快感を逃がそうと逃げる修二さんの腰を押さえて、俺は聞く。 「入れていい?」 「ん、いい、よ」  俺は自分もソファに座って、修二さんを膝の上に乗せた。修二さんが少しずつ、俺を受け入れながら座ってくれる。 「……うっ、んッ」  俺は目の前の細い腰を抱き寄せた。 「あ、冬吾……深い……っ」  抱き寄せられてぐっと体が沈み込んだ修二さんが声を上げた。俺はその唇にキスをする。 「好きだよ、修二さん」 「ん……、俺も」 「一生、一緒にいて」 「……頑張る」  苦しそうに、修二さんが言った。  修二さんが、頑張るとしか言えないのは。仕方がないんだ。修二さんの方がずっと年上だから。俺たちの年齢差はどう頑張ってもこれ以上は埋まらない。  それでも俺はもうこのひとがいない人生なんか考えられないんだ。誰かを好きになるって本当に怖い。ひとりで生きていく方法を忘れてしまう。  だけど、このひとはできる限りのことを全部俺に誓ってくれた。俺だけだって、俺がいいって。もう俺は、ひとりで生きていかなくていいって。  だから俺はあんたを信じるよ。病気か老衰か事故かわかんねえけど、あんたが俺を置いていくその瞬間までは、俺はもうひとりで生きていかなくていいんだって。そう信じて生きてく。  俺は左手の薬指にはめられた指輪を見た。  俺はいつでもおまえのそばにいるから、って言ったね。本当はそんな、一日二十四時間、ずっとそばにいられたりはしないのに。それでも、これはそういうことの約束なのかな。  そばにいられなくても、ずっと一緒だって。 「ね、修二さん。俺もおんなじの修二さんにあげたい。どこで買ったの?」  指輪を見せながら、俺は囁いた。 「あとで教えてやるよ……」  薄く微笑んだ修二さんと、指を絡めて、舌を絡めてキスをする。今このひとをこうやって腕に抱けるだけで、俺はものすごい幸せだ。だから俺も、俺の全部であんたに誓うよ。俺の全部は、すべてあんたのものだって。  そんで残りの人生を、ふたりでずっと生きていきたい。  翌朝。教えてもらったサイトをスマホで見て、俺は指輪の値段に卒倒しそうになった。これじゃ修二さんの次の誕生日には絶対間に合わない。次の次まで待ってもらわないと。  俺はまじまじと自分の左手におさまっている指輪を眺める。  つーか本物のプラチナじゃん。ふっつーの、……結婚指輪じゃん。  こんな値段のやつに名前彫って、受け取らなくてもいいとか、名前入れたあとじゃ返品もできないのに金もないのになに言ってんだ修二さんは。  呆れたって呟いてみたけど、勝手に俺の口元を緩ませる、ニヤニヤは全然止まらない。 「行ってきます」 「ん……」  まだ微睡みの中にいる修二さんの額にキスをして、俺はアパートを出た。俺たちの朝はバラバラだ。俺の方が早い。そんな、いつもどおりの朝。  だけど、俺たちはこれからずっと一緒に生きてくんだって、そう誓った新しい朝。 end.
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