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第13-4話いざ初メインクエストへ!

 村人たちの何人かから吹き出して笑う声が聞こえてくる。そしてじーちゃんはホッとしたように微笑んだ。 「ではお言葉に甘えさせてもらおうかのう。皆の者、移動するぞ」  その一声で他の村人たちが移動を始める。オレに手を振ったり、「ありがとう」と言いながら。  最後尾になったじーちゃんはオレの顔をジッと見てから、コソッと呟いた。 「君、名前は?」 「信弥って言います」 「ふむ……信弥くん。ワシらは他のクエストでも背景のモブキャラを演じておる。また会った時、君にいい物を贈ろう。ではワシも退散させてもらう、助けてくれてありがとう」  オレの腕をポンと叩いてから、じーちゃんは他の村人たちの後を追って行った。  さあこれからしっかり囮にならないとな、と意気込みながらオレは村の中心へと進んでいく。  辺りを見渡し、敵が潜んでないか様子をうかがってみるが、村人すらいなくなって静まり返っている。  もしかしてアレスが全部倒してくれた? と期待がよぎる。  ――数秒後、淡い期待はあっさり消えた。  あちこちからゴブリンとスライムが湧いて出て、真っすぐ俺に向かって来やがった。  幸い、それぞれチームで行動しているらしく動きが遅い。オレは捕まらないようチームの間を縫って逃亡を図る。  ある程度出現したら新規には増えないらしく、数十匹のスライムと数匹のゴブリンが俺を追いかけ続ける。木や建物の物陰に少し隠れて休みつつ、すぐ移動して……をくり返し、オレは少しずつ確信を得ていく。  どうもゴブリンリーダーは外にいないらしい。建物内のどこかに潜んでいる。  こういう時の相場は、その町や村で一番大きな建物や、他の民家とは違う色や造りの建物に潜伏していて、プレイヤーを待ち構えているというもの。  村の建物は極端に少ない。目立つ建物もない。となれば――。  オレは取り敢えず村で一番大きな平屋建ての民家――たぶん村長の家――に向かってみた。  扉を開けて中を素早く見てみるが、近くには見当たらない。もしかすると奥かもしれないと思い、中へ入って息を潜めながら進んでいく。  玄関とすぐに来客を出迎える部屋には何もない。じゃあ隣は……と奥の部屋に足を踏み入れた瞬間――足首に細長い何かが巻かれた気がした。 「わ……っ! まさか……」  視線を下げると、足が半透明のぷにぷにしたものに捕らわれていた。
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