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第6章:第14話

「僕なら、判ります!」  美岬は、キッパリと言い切った。もちろん、正式な鑑定はX線や赤外線を使わなければならない。鑑定士だけでなく、美岬のような修復士や学芸員が集まって、総合的に判断する必要もある。  でも少佐に捜査のカンがあるように、美岬にだって修復士のカンってものがある。本物なのか、ニセモノなのか、肌で感じることができる。 「だから、僕に行かせてください」  事件の解決に自分の知識が役に立つのなら、何でもする。盗まれた絵を取り戻すためなら、どこへでも行く。  ――せめてもの、罪滅ぼしだ。  このままでは、美岬を信じて絵を任せてくれた仲間に申し訳が立たない。なんとかして、名誉挽回しないと。 「お前はダメだ」 「どうしてですか? どうして僕じゃダメなんですか?」 「お前は、ジャンカルロ側に面が割れている。おまけに、潜入捜査の訓練も受けていない。足手まといになるだけだ」  それは判っている。けれど、目の前で盗まれた『カインとアベル』のことを諦めてしまうなんてできない。 「少佐だって、あの絵が好きだって言ってたじゃないですか!」  展示されていた場所まで、正確に覚えていた。そんな絵が二度と戻ってこないのは、絶対にイヤだ。 「お願いですから」  美岬は必死に頼んだ。 「……やっぱり、話すんじゃなかった。お前、あいつの屋敷に忍び込むのがどれだけ危険なことか、判ってるのか!」  叱りつけるような大声が、頭の上に降ってくる。 「盗難のあった夜のこと、忘れたわけじゃないだろ? あの程度の怪我で済んだからよかったようなものの、運が悪ければ、お前はここで殺されてたかもしれないんだぞ!」  そこまで言われて、ようやく事の深刻さが見えてくる。美岬のことを羽交い締めにしたあの男、背筋が凍るような冷たい声をしていた。あいつなら、顔色ひとつ変えずに美岬の首を絞めたかもしれない。

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