3 / 6

猿も木から落ちる

 前途多難な旅の始まりではあったが、その後はなんとか犬斗の発情期も収まり二人は国境の四つ辻までたどり着いた。 「もうきびだんご、ぜったい食べないからっ」  どうやら意識を失ってからも犯され続けたことに怒っているらしい犬斗は顔を赤くして怒っていた。その割にはちらちらと腰袋を気にする姿は可愛いと思うがこれが運命という確信を桃太郎は持てなかった。  行き先は犬斗の鼻次第である。母親である洋右の匂いがうっすらと残る先を目指すという無謀のような旅路でこの四つ辻である。犬斗は三方向へと鼻先を向け、二方向にまで絞り込んだが決め手がなかった。 「多分、こっち……だとは思うんだけど。間違ったらどうしよう」 「まぁそれならそれでここまで戻ってくればいいだけじゃない?」 「桃ちゃんはママが心配じゃないのっ?」  慰めようと掛けた言葉に怒られるという理不尽さ。どちらか迷っている犬斗を置いて、桃太郎は少し離れた木の根元に寄りかかり眺めていた。明るい日差しを遮る木陰の下は心地よく、桃太郎は目を閉じると寝息を立てはじめた。  そんなに長い間ではなかったはずだ。陰の長さからいってもせいぜい四半時。にもかかわらず、桃太郎の周りには人集りが出来ていた。それは身体の小さい猿の獣人たちだった。まだ子供なのだろう、見知らぬ人間を見てキャッキャと騒いでは遠巻きに見ていた。 「あ、こらっ! ぼくの桃ちゃんに何してるんだっ!」  気付いた犬斗が子供たちを追い払うが小さい犬斗ではあまり効果はなかった。猿たちは長い尻尾を振り回しては逃げ回り、それを追いかける、新な遊びが始まっていた。  そんな騒ぎの中で目を覚ました桃太郎が大きく伸びをすると、どさっという音とともに桃太郎の膝の上には少年とも青年ともとれる男が落ちてきた。 「いてて」 「おま、え、何をした? オレの、身体が……」  少しやんちゃに遊ばせた髪は根本だけが黒い金髪で、袖をまくった着物は継ぎ接ぎだらけだがそれがかえって洒落た派手さとなっていた。首に下げた大小の珠で出来た数珠もまた、色とりどりである。背中でピンと立てて警戒心をあらわにしている細く長い尻尾は白と黒の縞模様だからさらに派手だ。 「何したって別に俺は何も……君、オメガ?」 「だったらなんだよっ! 木から落ちるなんて子供のころにもなかったのにっ」  どうやらこの木の上にいたらしい。黄金色の瞳は釣り上がり少々キツイ顔立ちをしている。周りを見渡せば似たような尻尾を持つ子供たちと比べると大分その顔つきは違った。  どうにも木から落ちたことが気に食わないようできーきーと叫ぶ男は桃太郎の膝の上に乗ったままである。 「だいたい、なんでこんなとこにいんだよっ! ここはオレの縄張りだぞ! 早く、出てけよっ!」 「縄張りって言っても……ここ別に君の土地じゃないだろ? 見たところまだ番も見つかってないようだし」 「う、うるさいなっ! どうせ、オレは一族の中でも可愛げがないって言われてるけどっ、いつか鬼ヶ島さんに連れて行ってもらえるんだからなっ!」  可愛げがないとは言ってない、と桃太郎は思ったがその後の言葉が重要だった。今この男は鬼ヶ島と言った。どうやら人名のようだが、オニという言葉に桃太郎は引っかかりを覚えた。 「その、鬼ヶ島さんってのはどんな人なの?」 「ただで教えるわけないだろ? お前だってオレの身体に、なにかしたくせに……っ」  怒りでどうやら忘れていたようだがこの男、発情しかけていた。桃太郎も身に覚えはないがこの状況は犬斗のときと似ている気がした。腰袋からきびだんごを一つ取り出すと、男はそれを両手で受け取り掲げて下から見たり、横から見たりとせわしなく観察していた。 「な、なんだこれ……オレこんないい匂いのするモノ見たことねぇ……」 「うちのばあさん特製のきびだんごだ、一個あげるよ」  やはりこの匂いにはなにかオメガの発奮材料になるものが含まれているのだろうか? ぺろりと舐めて味見をするとそのまま一気に口に含んだ。頬を膨らませて食べる姿は乱雑な口調とは裏腹に可愛げがあった。 「なんだ、可愛いとこあるじゃないか」 「か、か、可愛いって、っ! お前目が悪いのか? オレのこと、可愛いって……」  顔を真赤にさせた男は桃太郎を睨んだが、言われ慣れてない言葉を掛けられて目をしろくろさせているからまったく怖さを感じなかった。 「俺、桃太郎って言うんだけど君、名前は?」 「も、ももたろう? 変な名前。オレは……え、んや。猿弥って名前だ、かっこいいだろ?」  猿弥は誇らしげに胸を張った。おかげで元からぱっかり開いていた胸元はさらに押し広げられその日に焼けた身体を桃太郎に見せつける形となり、大きな数珠がなめらかな素肌に艶かしく輝いていた。桃太郎がその珠を一つ持ちあげるとそれが擦れたのだろう。猿弥が身体をくねらせた。  何度も言うが猿弥が座っているのは桃太郎の膝の上である。悪態をつきながらもその身体は常に桃太郎から離れることはなかった。本人も気付いていないのだろう。その尻は桃太郎のペニスに終始こすりつけていることなど。無意識に猿弥は桃太郎を誘っていたのである。 「猿弥か、かっこいいな。それで? 君の身体がおかしい原因はおそらくこのきびだんごのせいだと思うけど、鬼ヶ島さんのこと、話してくれる?」 「お前も、鬼ヶ島さんのところに連れて行ってもらう気か? ダメだぞ! あそこはオメガじゃないと行けないんだ!」  桃太郎の集落ではさらわれていったオメガだがこの集落では鬼ヶ島さんのところに行くのはある種の社会的地位を確立しているようだ。それとも着物からして貧しいのだろうか? むしろそれは身売りと言うものではないだろうか。しかしせっかく得た情報である。ここはもう少し詳しく聞いておきたい。それに、桃太郎のペニスも大分我慢を強いられている。手にした数珠を見て桃太郎はにこりと微笑んだ。 「猿弥は、鬼ヶ島さんのところに行ったら何するか分かってる?」 「なにって……そりゃ……子種をもらうんだろう?」 「どうやるか、知ってる?」  自分の発情もあまり分かってない猿弥。子種をもらうという行為がどんな行為か具体的には分かってなかった。しかしここで知らないというのは自尊心が傷付くと、猿弥は知ってると嘯いた。 「そっか、知ってるのか。じゃあこの珠の使い方も知ってるんだね? コレをここに挿れられないと子種はもらえないんだけど」 「も、もちろん知ってるぜ、オレなんてこの大きいのだって、挿れられるからな」  桃太郎は指で摘んでいた中くらいの大きさの珠を目の前に突きつけて、ここと言いながらペニスで猿弥のアナルを指した。どうやら猿弥は負けず嫌いのようだ。そんなことは知らなかった猿弥だが数珠を首からおろし結び目を解いた。コロコロと転がる大小百八つの珠のうちいくつかを握ると、その中でもひときわ大きく赤い珠を桃太郎の眼前にかざした。  桃太郎の膝をまたぐ形で膝立ちになると猿弥はその手を後ろに回した。流石に最初から一番大きな珠は怖かったので、最初に桃太郎が見せた中くらいの珠をつまむと、自身のアナルに押し当てた。 「んっ♡ なん、だ? これ……っ、なんかぬるぬるして……あああっ♡」  きびだんごと桃太郎のフェロモンですっかり濡らしたアナルに押し当てただけでつるりとした丸い珠は猿弥の身体にするりと吸い込まれた。はじめての感覚に猿弥は声をあげるのを抑えられなかった。目の前で自らアナルに珠を挿れる痴態は桃太郎をより興奮させた。 「まだ一個だよ、猿弥。ほら、次挿れてごらん?」 「ん、わかってるっ!」  挿れた珠より少し大きな珠を手に取りまた押し当てる。中に挿れた珠がどんどん奥へと押し込まれていく。その度に猿弥は背をしならせては桃太郎に身体を押し付けていた。とうとう最後の一番大きな赤い珠だけが手元に残る頃にはその腰にしっかりと桃太郎の腕が巻き付いて、それがなければ倒れ込むほどに身体を震わせていた。 「ほら、最後。それ挿れられるんでしょ? 見せてよ」 「そこで、しゃべんなっ♡ あ、ふっ♡ ふっ♡ あんっ、中ごろごろ、するっ♡」  桃太郎の顔は薄くついた筋肉に覆われた猿弥の下腹部、へそあたりにあった。わざとそのへそに唇が触れるように喋る桃太郎のせいで、その奥にある数珠を意識させられて、猿弥はとうとう泣きついた。 「むり、これ、むりっ♡ こんなのはいんないっ! ももたろ、挿れて? これ、オレに挿れて?」 「そっか、無理かぁ……。でもこれが挿れられないなら鬼ヶ島さんに子種もらうのは無理だよ? それとも俺が教えてあげようか? 子種のもらいかた」 「っやだっ、子種ほしいっ! おしえて、オレに子種のもらいかたっ」  桃太郎は腰を抱いていた片手をゆっくりと下げた。背骨をなぞるようにして尻尾の付け根を撫でると猿弥は身震いした。 「はや、くっ!」 「でもさ、ここの珠、出さないと子種はもらえないんだよね。出せる?」  尻の割れ目に指を入り込ませ、その奥にある猿弥のアナルを叩いた。その振動で猿弥は中を締め付けてしまった。 「あっ♡ だめ、でちゃうっ♡ あぁっ♡ オレ、もらしちゃうっ♡」  締め付けた拍子に猿弥はオメガにしては大きなペニスを桃太郎に押し付けて、吐精した。生暖かいべっちょりとした感触が桃太郎の胸にかかった。 「あっ、オレ……おもらし、しちゃった……。もう成人するのに……」  小便を漏らしたと思っているとは。成人間近の男にしては身体はまだ成熟していなかったようだ。泣きじゃくる猿弥は最初のときの態度の悪さなどすっかり消えてしまっていた。 「大丈夫だよ、猿弥。これがおとなになった証拠だから。これで子種もらう準備が出来たってことだからね。ほら、今度はこっちから出してしまおうね」  桃太郎は追い打ちを掛けるように両手で尻を割り開きアナルの縁に指をかけて排泄を促した。 「あっ♡ でちゃうっ、オレ、お尻から、出ちゃうよっ♡」  一つの珠がぷっくりと顔を出しぽとりと落ちた。その都度桃太郎は猿弥を褒めた。 「偉いね、猿弥。ほら次も出してごらん? そうしたら子種がもらえるからね」 「がんばる、オレっ、子種ほし、いっ♡ あっ♡ 出すの、きもちいいっ♡」  若いと成長が早いのだろうか、それともオメガの特性なのか。猿弥は排泄にも快楽を得ていた。猿弥の愛液をまとった珠がコロコロと地面を転がっていった。 「さ、次で最後だ。頑張って」 「んっ♡ あぅっ♡ まだ、おくに、あるっみたいっ、出ないっ」  中の珠を下へ落とそうと猿弥は上下に腰を振った。重力で落ちてくる珠がなんとか出口に降りてきた、その時だった。 「あああっっっ♡ なにこ、れっ♡ やっ♡ また、おくに、っ、おくにイっちゃうっ」 「ああ、もう猿弥が腰動かすから俺のちんこが挿っちゃったじゃんっ。まぁどうせ、挿れるし、いっか」 「ももたろ、のちんこ? これちんこなの? やっ♡ ちんこ、やぁっ♡」  嫌だと言いつつも先程までの上下運動を猿弥は繰り返していた。珠で覚えた気持ちのいいところが一度にすべてこすられるのである。しかも最奥には一つ残った珠がある。出し入れする度にそれは猿弥の子宮口を叩きつけていた。 「これで、子種がもらえるんだよ、猿弥。ちんこをお尻の孔に挿れて、そこに子種をもらうんだ」 「ちんこ、が、子種っ? あっ♡ じゃ、オレ、ちんこ、ほしいっ♡ ももたろうのちんこっ♡」 「じゃあいっぱい動いて、じゃないとあげられないから」 「わか、ったっ♡ オレ、いっぱい、あんっ♡ いっぱいほしい、っ、子種っ♡ ちんこっ♡」  猿弥は桃太郎にすがりついて激しく動いた。時折桃太郎が角度を変えて来ると耐えきれずに絶頂したが、それでも動きは止めなかった。さすが猿である。覚えてしまった快楽にどっぷりハマっていた。  子猿たちに振り回されてヘトヘトの犬斗がきゃんきゃんと喚く、日暮れまでそれは続いたのだった。

ともだちにシェアしよう!

この小説を読んだ人におすすめの作品

とある真夏日に始まった、期間限定の恋人関係
346リアクション
76話 / 111,555文字 / 100
10/20 更新
突然寮の同室の幸田にキスされてしまったコウジ…友達でいたい気持ちとは裏腹に…
1,633リアクション
259話 / 179,098文字 / 260
7/19 更新
「心配すんな、俺がお前を守ってやるから」幼馴染のアキラには皆に言えない秘密が…
78リアクション
3話 / 4,516文字 / 379
6/6 更新
ルームシェアをしている黒豹α×白ウサギΩ。ヒートに振り回されてエッチして、苛立ってはケンカして。
490リアクション
9話 / 9,031文字 / 675
8/20 更新
仮装舞踏会で出会った竜人の正体は…
4話 / 22,034文字
10/4 更新