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第18話

一方、尚希が話した通り姫木の捕らえられていた部屋にも4人も侵入してきていた。 「な、なんだよあんたら」 俺を撫で回していた男たちが狼狽えてベッドの上を後退するが、体格のいいスーツ姿の男たちは迷うことなく寝室に入ってくると、2人の男を捉え、持参してきたのかロープで一括りにした。その手際のよさに思わず俺は息を飲んでその光景に見入っていたが、ふわりとタオルケットのようなものがかけられた。 「すまない」 俺の裸体を隠すようにそれをかけたくれたスラッとした男が、切なそうな顔つきで謝罪した。 完全に初対面だった。俺は俳優のようなカッコいいその人をただ見つめた。 『誰?』なんだろうと、不思議な顔をしたまま。 「離せよッ」 「俺たちは西園寺に頼まれただけだぜ」 捕えられた男二人は暴れながら、俺たちは関係ないと叫ぶ。それが煩いと感じたのか、カッコいい人はスーツ姿の男たちに視線を向けると、冷たい眼差しを送った。 「黙らせろ」 その指示を受けたスーツの男たちは、ポケットから小さなナイフを取り出すと、暴れる二人の頬にそれを宛がった。無機質な冷たい感触が頬に当たり、暴れて騒いでいた男2人はゴクリと喉を鳴らして急に大人しくなる。 「……おい」 「冗談じゃないぜ……」 「騒ぐならその口を切り裂いても構わないが」 カッコいい人が冷酷にそう言い放つと、男2人は小さく首を左右に振り、静かになった。それを確認したカッコいい人は二人をここから連れて行けと目で合図を送り、スーツの男たちに連行させた。 寝室に残されたのは俺と少し怖いカッコいい人のみ。あまりにも怖い言葉を聞き、俺は冷や汗を流しながらじっと見つめたが、カッコいい人は黙ったまま俺に近づくと、頭上で固定されていた拘束具を解いてくれた。 「あ、あの……ありがとうざいます」 たぶん俺を助けてくれたんだろうと、お礼を述べた。 「怪我はないか」 「ちょっと痛いけど、大丈夫です」 拘束されていた腕が擦れて少し赤くなっていたが、血が出ているわけでもなかったので、俺はそう答えた。だがカッコいい人はわずかに目を伏せてから、俺に深く頭をさげてきた。 「本当にすまない」 「雅也兄さんッ!」 深々と頭を下げたカッコいい人は、背後から西園寺にそう呼ばれた。兄さんということは、雅也は西園寺のお兄さんだと、俺はここでようやくこの人が誰なのか分かることができた。 俺に向かっていつまでも深く深く頭を下げる雅也に、西園寺が背後から抱きついてそれを止めさせようとした。 「雅也兄さん、もう止めてよ」 雅也が俺に頭を下げるのが嫌なのか、西園寺は必死に頭をあげさせようとするが、雅也は西園寺を振り払い、今度は床に膝と手をつく。 「弟の不始末は私の責任だ。本当に申し訳ない」 まるで土下座するように雅也は俺に謝罪してきた。 「そんなことしないでよッ!」 床に頭をつけて謝罪するその姿に、西園寺が狂ったように叫び出す。雅也のそんな姿みたくないと、西園寺は雅也に腕を回して必死に抱き起そうとするが、頑なにそれ拒み雅也は謝り続ける。 「止めて、止めてよ! 雅也兄さん、お願いだからこんなことしないで!」 「許されるとは思ってはいない。私を君の好きなようにしてくれて構わない」 どんな罰でも受けると雅也は言う。 「どうして、どうしてなの。雅也兄さん……」 謝罪を一向に止めない雅也に、西園寺は泣きそうな声を出した。俺はどうしていいのか分からず、声を詰まらせていたが、唐突に部屋の入り口から足音がし俺と西園寺は音の方を振り返った。 足音は寝室までたどり着くと、一瞬その音を止め再び進む。 「天王寺……」 ものすごい形相をした天王寺を確認した俺は、次の瞬間思わず身体を乗り出していた。 「貴様ぁぁぁ!」

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