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Ωの運命

 父が、 「そろそろ希夢も思春期だから、一回病院に行こう」 っと、言い出した。  ネットを見ていた僕はΩが避妊薬や発情抑制剤を投与されるのは知っていたが、自分がそうなる日が来たのを知り恐怖だった。  僕、妊娠する体になったんだ……。  病院に行くと、あっさりした感じの医者が、 「注射も一応出しておきますが、最近は飲み薬が効きますから、緊急時以外は飲み薬だけで対応できますよ。けど、薬の説明書はきちんと読んで、きちんと飲んでくださいね。次からはご本人が来なくても薬を出すだけなら対応しますから」 っと、五分足らずの説明で診察を終えた。  けど、薬局に行ってどっさりと薬を出されたときには絶望的な気分になる。  特に注射キットの存在は重い。  説明書を読むと、『ヒート(発情)が酷い時には注射を行ってください』と書かれ、Ωなのに、α用の注射キットまで出された。  全部、Ω側の負担なんだ。 「希夢。何か食べに行こう」  珍しく、父が外食に誘った。  僕が憂鬱になってるのを察したんだろう。 「うんん。お腹すいてない。帰ったらアイスを食べる」  僕は何も感じていないふりをして、笑った。 「希夢。俺が行きたいんだ」 「どうしたの、パパ?」 「希夢とパパはずっと傍にいれないかもしれないんだ……」  泣きだした父に、僕は泣きそうだったが、 「パパ変だよ?」 っと、かわそうとした。 「大事な話があるんだ」  そんなの聞きたくない。  父に初めて連れていかれたファミレスで僕は聞かされた。  Ωはαに誘拐されてしまったり、無理やり番にされてしまう事が多い事。  Ωはα以外にも誘拐されてしまう事件が良くあることを。 「そうなの……」  何も感じていないふりを続けたけど、手の先まで冷たくなっていた。 「希夢にはパパだけの天使でいてほしい」 「分かった」  この頃には既に、Ωへの世間からの悪意を感じ取るようになり、知らない人にどこかに連れて行ってなんて言う性格ではなくなっていた。

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