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第12話 決意・3

■ 高斗が降りた後の車内は、不気味なほどの無音と重く沈んだ雰囲気が、何か嫌な臭いのように充満していた。 加賀谷は一言も話すこともなく車を走らせており、綾鳥大臣も、額に手を当てたまましばらく車窓を眺めていた。 やがて、フロントガラスを叩きつける雨音が強くなったとき、綾鳥大臣が口を開いた。 「加賀谷」 「はい」 「早めにあのバカ息子の色ボケをどうにかしろ。手段は問わない。出来るだけ目立たない方がいいが……どうにもならなければ、最終手段として、Ωを〝消しても〟構わない。Ωは闇ルートで高く売れるし、ブローカーの仕事は優秀だ。一度売られたら二度と社会には出て来ない。文字通り、跡形もなく〝消える〟だろう」 その命令にも、加賀谷は顔色一つ変えずに、ワイパーの揺れるフロントガラスをまっすぐに見つめ、冷たい声で言った。 「承知致しました」

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