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下らな過ぎて吐き気を覚えてしまいそうだ。何度となく、顔を浮かべては真っ赤に染めていく。 脳裏に描くのは自由だからな…。 「この子は渡しません…」 背中で俺を隠す慧弥。 「逆らうつもりかっ、慧弥」 「巫麒兄様が何と言おうと、祖父様が何と命令しようと…隗は私の息子です。 子を護るのは親の役目で御座います…」 馬鹿で可愛い慧弥。 “僕”の弟…。 そうまでして護る需要がある? 『君は自分の“家族”を護りなさい。何時までも、三神帝 隗斗』に縛られて生きていくのはいけないと、小さな声音で呟いた。 ぐいっと、慧弥の腕を引っ張り、倒れている咽鬼の所へ投げた。 「…隗斗」 「自分すら守れない奴に可愛い弟を任せるんじゃなかったな。“僕”とした事が…一生の不覚だ」 人生ミスと、言っても過言では無い。 転生して、新しく出来た家族は新鮮だった。単なる“家族ごっこ”に、咽鬼も付き合ってくれたし。 中々、楽しめる居場所だった。 少年は、瞼を閉じながら、思い返しながら微笑う。 咽鬼が…。 “隗斗”に対して、数々の嫌味たらっしい科白。 本当なら、義兄弟同士の喧嘩をおっぱじめている所。 幸い、そうならないのは、慧弥のお陰かも知れない。 『一杯、どうだ。隗』 『“僕”に、酒を進めるとか、どうなの。仮にも、ソナタは、父親だよね?』 夜中、目を覚ました時に、リビングで、晩酌をしていた彼。 十三祝いも過ぎていない息子に、酒を進めてくる父親に、呆れた。 酒は、嫌いではないが、それは四十年前の事である。 別に…。 家の中だから、いけるが。 流石に、ライバルとも言えるコイツと、杯を交わす気になれなかった。 『美味しいんだがな』 『…“僕”は、ブランデーより、ワイン派なんだよ。まぁ、ブランデーも飲んだりする。しかし、一番は、殺戮をした後に飲む日本酒。あれだけは、止められない…』 思わず、顔がニヤけそうになった隗斗は、ハッと、我に返ったのであった。

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