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“僕”は遊戯を楽しむのが好きな子だ。
他人に、左右された人生なんて御免だね。咽鬼が邪魔だから、慧弥も一緒に殺るとか、外道が思いつく案。
「―…三神帝の名を廃れさせるつもり?雑魚を引き連れてくるんじゃないよっ!!!」
不能な奴等で、緋神帝の主を簡単に殺せると考えたんだろうか。もし、導き出した答えなら“僕”は、全力で拒絶してやる。
虫酸が走る行いは好きじゃないだよ。
「うっ、ぐっは…」
「苦しみもがいて…“死”の恐怖を脳裏に灼き付けるといい。貴様達は、誰をズタボロにしたのか、よくよく考えるんだな…。馬鹿な弟にとっては、世界でたった一人の愛する存在らしい…」
「隗…斗…兄ぃ」
「しぃぃ…お休み、慧弥…」
君が願うものを“僕”が叶えてあげよう。
「咽鬼、さぁ…実行しようか…」
「良いのか」
驚いた様子で、男性は、呟いた。
確かに、長年の研究の中で、練ってきた大がかりなイベント。成功する確率は、低いとされていた。
だから、正直、この、瞬間に、発動させる合図を“義理兄”が、出すとは、思わなかった。
成功したとして、どの時代に、息子を、送れるか、解らない。
それを、彼は、やって、退けようと、するのだから、拍手したいくらいだ。
しかし、今の状況では、不可能と、判断した咽鬼は。
深い、溜め息をする。
あからさまに、溜め息を吐くとか“僕”に、対して、嫌味?
『どうせ』なんて、思っているかも知れないけど、生憎、成功する。
研究してきた内容に、少し、加えさせてもらったよ。
“僕”の頭脳の中には…。
何時の時代なのかも、把握されているし、実際に、潜ったとしても、命に、別状は無い。
ヤるなら…。
ー…盛大に、いかないとね。
『ふふっ』と、含み笑いをした隗斗は、父親が、長年、研究してきた事に、一手間加えた事を、内緒にしておこうと、思った。
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