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水鬼帝 露草。
それが彼の名前…。
唯一、蒼い魂を持つ人物であり、嘗て、俺が愛した男の生まれ変わり。
最初、出逢った時、ほほくそ笑ってしまいそうになった。自分の手で解き放った魂が駁さんに宿り、水鬼神として生まれていた。
交われば、一発アウトな存在だと解っているが、必要不可欠だから仕方ない。
俺は自分で再び開くのさ…。
―…禁断の扉とやらを。
「隗~…燐ちゃんが苛めるよぉ…」
「喜んで苛められてきたら?っか、何気にドコ触ってるの!」
「酷っ!」
「五月蝿いなぁ。俺は、今から昼ごはんなの。そんなに相手して欲しいなら、櫂那兄様達に言い付けるからっ」
敢えて、冷たくあしらう。
水鬼帝に来てから、露草ちゃんとのやり取りは然程、珍しい訳じゃない。
寧ろ、日常茶飯事になりつつある。
彼自身が何に動かされたかは知らないけど、俺の視界へ入ってくるんだ。可愛いから構ってあげたいのは山々だけど、今は早いからね。
もう少し、緋神帝の双子を弄りつつ、翻弄していきたい。
そうじゃなきゃ、こんな面倒臭い演技を、繰り広げている俺じゃないのは、確かだ。
ー…三神帝の玉座を。
取り戻すまでに、色々と、含まれている。
例えば、彼が、自分に、溺れてくれるまでのカウントダウンを。
密かに…。
打ち始めるとか。
十五龍神を、揃えて、どう、説得するか。
シナリオ通りに、進めるのは、少しばかり、ありきたりな気がして、つまらない。
だとすれば、飽きない方法を、考えなければいけない。
脳内は、とりあえず、三神帝に、巣食う糞爺を、殺すアイディアが、膨らんでいた。
いざとなれば、四肢をバラバラにするのもアリだが、それでは、面白味がない。
じっくり煮詰まった物は、後から使うのが、楽しみだ。
だから、俺が水鬼帝で、過ごしている間は、穢らわしい顔を、にんまりさせていると良い。
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