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2ー5

素直というか、直球過ぎるのは、櫂覇兄様の悪い癖。 好きな相手には、ちょっかい出して、毛嫌いされるぐらいウザったいのに。 『秘密です。教えたら有り難みがありませんから』 『何だよ、それ…』 『自分で、見つけてみては如何ですか?櫂覇さんも、大人なんだし、色恋沙汰の一つや二つあるでしょう。 だったら解ると思いますよ…』 『…』 遠い目をしながら、応えた露草ちゃんは、立ち上がった。 『最も、相手が、鈍感すぎない限りは気付くでしょうね。じゃあ、俺仕事ありますんで』 部屋から出ようとした彼を、櫂覇兄様は止め。 『あ、おい…“蒼氷の薔薇”っ…』 『その、呼び方止めてもらえませんか?一番、嫌いなので』 咄嗟だったとはいえ、一瞬だけ櫂覇兄様を恨んだね。 俺が、狙っている獲物に、何、上目遣いしているかと。『貴様には、都霞が居るだろう』って。 二人の間に、割り込み、文句を並べたかったが、此処は、大人としての対応を選んだ。 キレて、中に入ったら、俺の負け…。 遊戯を…。 楽しむなら、有意義にいかないと、損をしてしまう。 動ける駒は…。 進めて、なんぼだと、思っているし。 動かしている間は、楽しみが、増える。 メインデッシュに…。 加えたいくらいだよ。 嗜好を、潜らせながら、堪能する酒も、また、美味だけど。 俺の中での、最高な料理は、一緒に、食べてくれる相手が。 胃袋を、掴まれた瞬間に、見せる表情。 これだけは、譲れない気がする。 櫂覇兄様も…。 櫂那兄様も。 双子の嗜好は、似ると言われているけど。 俺と、嘗て、弟だった藜斗は、似ていない気がする。 双子ならではの不思議な体験は、何度かあるが。 それ、以外は、奇跡という経験は…。 ー…無い。 殺戮神として、育てられている以上、奇跡も、非に、等しい。 なんて、思いながら、料理の内容を…。 考えている俺。

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