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緋神帝 咽鬼の血を引きながら、あの無防備さは如何なるものかと思いもしたが、よくよく考えれば、慧弥が、母親だった。
鈍感さは、慧弥譲りだと発覚した。あれでは好きな相手にも想いは、伝わりにくい。
『今度、その呼び方したら貴方を抱きますよ…』
『な、冗談はほどほどに』
『冗談に聞こえますか?』
そして、露草ちゃんを怒らせるのが得意な体質だと把握した。
俺的には、トラブルメーカーだよ。水鬼帝に来て、彼が仮面の下を見せたのはアレが最初だと思う。
普段は、完璧なぐらい仮面紳士を、演じているもんだから解りづらい。
俺が、解るのは同じだから、感ずいたにしか過ぎない。それでも、真っ黒な部分は抑え込んでいる所は天晴れ。
自分に言い聞かせているのだろう…。
相手が、誰かを把握した中で、本性を出すのを決めているに違いない。
現に、櫂那兄様の前では、何時も仮面だ。警戒しているとかじゃなく、櫂那兄様に対しては本性を出す必要もないと、判断したんだろうな。
『ちょ、ふぁっ…何の…っ』
『中々、良い顔ですよ。櫂覇さん』
展開的には、接吻求めていなかったけどね。
今度、消毒しなきゃ…。
露草ちゃんが、血みどろな世界へ、足を突っ込んできたらの話だけど。
『ちっ。アイツ…』
少なからず、感じていた奴がほざくなよ。
『何なんだよっ!』
君が、溺愛している弟である俺を、追い掛け回す虫みたいな水鬼帝の三男坊だ。
その他に例えるなら…。
獣を飼っている男と、言っておく。
櫂覇兄様が、手に負える相手じゃない。
俺は、其処を、気に入っている。
腹の底を見せない男なんて、探したって、滅多に、居る訳じゃないからね。
魂が、そもそも…。
“奈兎”の魂だし。
腹黒い部分を、引き継いでいても、仕方ないか。
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