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故に、怒り任せで、接吻した事を今頃、後悔している馬鹿。
感情のコントロールを少々、覚えさせるには良い機会だろうな。周りは、一目置いているみたいだが、かえって頭に乗ってしまう傾向がある。
直しておくなら、今のうちだろう…。
『―…ちっ』
軽い舌打ちして、机にある大事な書類を凪ぎ払ってたな。
『彼は隗じゃない』
『解っているなら、お利口さんだよ』と、飴を与えてあげたかったけどね。気分が変わったので、当分は、鞭だけを。
『何が、蒼氷の薔薇だ。単なる肩書きだろうっ!イライラする』
俺って、嗜虐心大勢過ぎるんだ。
自分から、苛めて欲しい輩には興味無いが、屈辱に、悔しさに、堪える輩は、観ていてウキウキな気持ちをくれる。
有意義なストレス発散だと、理解しているから止められない。
聞き方に、よっては危ない男だと、認識されそうだが、至って四十年前と変わっていない。
四百年前は、刺があったのに、オブラートだった。
唯一、変わらず成長しているのは、嗜虐心だけと自負しているよ。
“殺戮の桜”とは、美醜を愛する者。
死を芸術と考える獰猛且つ、繊細な獣。
似ている様で、似ていないだろう?
孤独に生きる水鬼神と。
だって、人種が、違いすぎる。
そう、解っているけど、再び…。
購えない柵に、俺は、彼を、縛る。
やっぱり、ゾクゾクしそうになるよ、露草ちゃん。
こうして考えると、俺達は、運命なのかも知れない。
己の中に、獣を、飼っている者同士。
というか…。
スパイス、もう少し、加えた方が、良いかな?
カレーって、ピリッと、舌に感じる辛さが、刺激的だと、言うけど。
あまり、辛すぎても、一度きりで、詰まらないから。
やはり…。
コツコツと、煮た方が良い。
此処は、少し、海老味噌を利かしてから、辛さは、後からくる様にしよう。
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