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第三章:※躊躇の余韻

―天界・水輝國・三神帝邸・大接間 皺くちゃな、皮膚を寄せ、不機嫌気味な、老人を、目の前にし、俺は、畏まった姿勢で、立つ。 「まだなのかっ」 「申し訳御座いません。祖父様…」 老人は、俺達の祖父。いや、単なる、賎しい老い耄れ爺。三神帝の、頂点に、立って、鼻を高くして、居座っている死にぞこないだ。 本来なら、其処には、兄が座っている筈だった。 四十年前、忽然と、姿を消した三神帝の、頂点に、立つ存在。 それが、三神帝 隗斗。俺や、亡き慧弥の兄に当たるお方。 「何の為に、緋神のボンボンを捕らえたのか…」 「その一件は、既に困難となっております」 「慧弥も、親不孝よの。儂が手掛けてやったのに、自分で死を選ぶとは…」 ―…違う。 あれは、隗兄様が、緋神帝 咽鬼と、企てた計画。 慧弥は、何一つとして、知る術は無かった。無論、兄が、弟を、手に掛けるなどと、幹部ですら予想していなかっただろう。 だから、老い耄れ爺の耳には入っていない。 現状を確認した者は、皆が口を押さえ、吐き気を伴っていた。 肉体は、木っ端微塵に、粉砕しており、辺りは、血の海になっていたと、報告を受けている。 正直、身元が判別出来ないくらい殺ったのは…。 老い耄れ爺に、調べて欲しくないのだろう。 緋神帝 咽鬼は、兎も角、慧弥に関しては、身元引き受け人が、三神帝になる。 勿論、司法解剖する確率が出てくる訳で。 俺は…。 一瞬、隗が、司法解剖しているシーンを、思い出した。 血を浴びながら、不適に笑うもんだから『この、兄、興奮している』と、手伝いながら、思ったよ。 『内臓、損傷。まぁ、僕の仕業なんだけど…。心臓、破裂。抉って…思わず、足で、踏み潰した為に、この、死人は、心臓が無い状態』 軽やかなメス捌きが、何とも言えない。 例えるなら、クラシックを、聞いて、指揮棒を、操る感じかな。

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