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艶やかなまでに、メスを、使うもんだから。 俺が、唖然としているのを若干、隗は、気付いていたんじゃないかなと。殺戮神としての基礎を、改めて、感じさせられたよ。 『殺戮の桜』と通っているだけあり、殺しは一流だと思い知らせる。 「何とでもしても隗を連れ戻せっ…」 「畏まりました」 怒鳴り散らす、老人を、尻目に、俺は大接間を出た。 『連れ戻せ』と、簡単に言うもんだ。気まぐれで、冷徹な兄が、ほいほいと、三神帝邸へ戻って来るとは到底思えない。 戻って来るとすれば、老い耄れ爺と、忌まわしい御子を殺める時。 生まれた瞬間から、兄弟をやっているんだ。兄の性格を知り尽くしている。 殺戮を享楽だと、心から楽しむ残虐な思考を持ち合わせている男性。 『巫麒、手を貸しては駄目だよ…』 幼い頃、慧弥が、泣きながら、実戦を、行なっていたのを手助けしようとした。 何処から、観察していたのかは解らないけど、隗兄様は、不適な笑みを湛え、阻止した。 それが、意味する物は…。 裏切り者である親族を、殺すという命令だった。 初めての実戦で、幼い弟は、殺す相手が、親族という事実を、中々、受け入れなかった。 しかし、殺戮神の家系だからこそ。 情けは…。 捨てないといけない。 其処に、感情を入れたら、終わり。 その後は、巫麒の仕事だったんだけど。 『思わず、潰すのは、毎回だけど、一応…親族だよね』 『そうだね。本来なら、巫麒の仕事を、僕がやっているのは、どうかな?と、思っている。裏切り者を、捌く意味があるのかを、問いたいよ…』 実に、つまらなさそうな顔で、言ったのを覚えている。 あれ…。 ー…絶対に、憂さ晴らしをしに行っている。 まるで、クラシックを、聞いている様な軽やかなメス捌きが、語っていた。 指揮棒を、操る感じで…。 メスを、使っていたもん。

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