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3ー3
「あ、黎斗兄様、巫麒兄様…」
カールがかった髪を揺らしながら歩いてくる女性。その背を守るかの様に、男性が居た。
老い耄れ爺の顔を見る事を嫌がって、滅多な事がない限り本邸には足を運ばない。
「妃膤、どうして、本邸に?」
「隗兄様を、連れ戻すって噂で聞いたの。もしかしたらと思って、来てみたの…」
「駄々を、捏ねられてね。困ったものだよ」
然程、困った様子には見えない。
恰も、報告を事前に知っていた感じがする。父様の性格上、妃膤が、駄々を捏ねただけで本邸へ来たりはしない。
隗兄様と、同じで、面白味のある件は、匂いを嗅ぎ付ける能力は天下一品級。
三神帝一族を、代表して優れた察知能力だと思う。
「…それに」
何処からか、確認出来ないけど、どさっと重たい音が鳴った。
俺達の、監視役だろうと、検討は付いた。
別邸から、ずっと着けてきたのだろう。父様や、妃膤が本邸へ、顔を出すのは珍し過ぎるからな。
不可解な動きと、捉えたに違いない。
しかし、背中を取られては、三神帝の家臣ともあろう者が、なっていない。
なんて…。
俺が、言っても、説得力に欠けるか。
そんな事を、思いながら、彼は、先ほど、思い出していた内臓の件を、考えていた。
一体、兄は、何処から、ぐちゃぐちゃになった無惨な内臓を、見つけたのか。
『本来、内臓とは、鮮血の血が滴るのが、綺麗なんだけど…』
『ご、ごめんなさい』
『巫麒の場合は、術を使うと、何処に、転移するか、解らないね…』
『今度からは、内臓を、丁寧に、扱います』
呆れた表徐が、忘れられない。
転移させる場所に、問題ありと、言いたかったのだろう。
あれから、巫麒は、術を使っていなく。
転移させる場所を、詳しく調べてから、使おうと、決めた。
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