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「あ、黎斗兄様、巫麒兄様…」 カールがかった髪を揺らしながら歩いてくる女性。その背を守るかの様に、男性が居た。 老い耄れ爺の顔を見る事を嫌がって、滅多な事がない限り本邸には足を運ばない。 「妃膤、どうして、本邸に?」 「隗兄様を、連れ戻すって噂で聞いたの。もしかしたらと思って、来てみたの…」 「駄々を、捏ねられてね。困ったものだよ」 然程、困った様子には見えない。 恰も、報告を事前に知っていた感じがする。父様の性格上、妃膤が、駄々を捏ねただけで本邸へ来たりはしない。 隗兄様と、同じで、面白味のある件は、匂いを嗅ぎ付ける能力は天下一品級。 三神帝一族を、代表して優れた察知能力だと思う。 「…それに」 何処からか、確認出来ないけど、どさっと重たい音が鳴った。 俺達の、監視役だろうと、検討は付いた。 別邸から、ずっと着けてきたのだろう。父様や、妃膤が本邸へ、顔を出すのは珍し過ぎるからな。 不可解な動きと、捉えたに違いない。 しかし、背中を取られては、三神帝の家臣ともあろう者が、なっていない。 なんて…。 俺が、言っても、説得力に欠けるか。 そんな事を、思いながら、彼は、先ほど、思い出していた内臓の件を、考えていた。 一体、兄は、何処から、ぐちゃぐちゃになった無惨な内臓を、見つけたのか。 『本来、内臓とは、鮮血の血が滴るのが、綺麗なんだけど…』 『ご、ごめんなさい』 『巫麒の場合は、術を使うと、何処に、転移するか、解らないね…』 『今度からは、内臓を、丁寧に、扱います』 呆れた表徐が、忘れられない。 転移させる場所に、問題ありと、言いたかったのだろう。 あれから、巫麒は、術を使っていなく。 転移させる場所を、詳しく調べてから、使おうと、決めた。

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