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隣では、クスクスと微笑う可愛い兄が、ちらりと、視線を、移した。 父親の強行を楽しんでいる様にも見える。 「―…今の速さは、隗と、良い勝負ですね。今頃、どぷどぷと、血が滴り落ちてますよ、ドコかで…」 「んふふふ」 「恐い父様、ふふふ。隗兄様以上に、容赦が無いですわ」 「ゴミが、辿る末路は焼却炉逝きと決まっているじゃないか…。黎斗、妃膤。私なら兎も角、可愛い子供達に殺気を向けるとか躾が為ってない証拠だよ」 周りが聞いたら、親子の会話にしては不気味だろう。否、危ない感が、辺りから滲み漂っている。 正直、父様の辞書には『容赦』は載っていない。 一度で良いから載っている辞書を引いて意味を調べて欲しいもんだ。 あぁ、頭が痛い…。 「巫麒兄様、今に始まった事じゃありませんわ。頭を悩ませたって…巫麒兄様の脳味噌が悲鳴をあげるだけですよ…」 ほんわかな笑みを、湛えられて、吐かれても慰められている気がしない。 そうだった、妃膤は、俺には厳しいんだった。嫌われている訳ではない。 本当に、嫌っている時の妃膤は誰に似たのか、冷酷さが半端ないから。 巫麒は、何に例えようか、悩む。 ああいう部分は、兄弟妹は、似ると言うし。 やはり、影響は、長男である隗斗かも知れない。 妃膤が…。 言い様に、頭が、沸騰しそうだ。 父様の嗜好が、隗兄様と、似ていて当たり前な気もする。 言うまでもなく、目の前の男性と、兄は、楽しい事に、悦を覚える方だ。 それは、親族きって、嗜み方を、理解しているからだろう。 でなければ…。 単なるサイコパスという名の殺戮享楽家だ。 変態を、通り越して、変人の部類に、入る。 巫麒は…。 父と、兄の嗜好は、到底、理解したくないと、思った。 殺戮神一族ではあるが、殺しを楽しむのは、隗斗だけだ。

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