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第四章:其の心に揺れ動かされ…。(隗斗side)
―天界・水鬼帝邸・隗斗の寝室
昼飯を食べ終えた俺は、身体が、妙に鈍っている事に気付いた。
雑魚相手に愛剣を振り回すのも勿体無いではあるが、不平不満を言っている場合じゃない。
これでは、宝の持ち腐れだと父親に叱られそうだ。折角、三神帝の宝剣である血桜を手にしたのだから適度にガス抜きをしてやらないと寂れてしまうと、考えた。
「隗~」
しまった。
“血桜”の事を考えていたせいで、避けられなかった。
「…っ」
頬すりしてくる露草ちゃんを俺は遠慮なく、肘拳を喰らわす。
声にならないぐらい痛いのは知っているが。敢えて無視する。
「今のは、避けられたよね?何、まともに喰らってる訳?」
「…っ、咄嗟に避けられる訳ないだろう。隗みたいに反射神経良くないし」
「―…嘘つき」
天界で、露草ちゃんの肩書きを知らない者は居ない。少なくとも、幹部や元老連中が恐れているのを俺は知っている。
だって、肩書きを言われると、露草ちゃん、機嫌悪いの態度に出るから解りやすい。
俺は、異なる瞳で、睨む。
この男は、飽きさせないのを知っているが、生温すぎるのが、傷だ。
まともに、喰らった肘拳を、避ければ、良かったものを。
馬鹿過ぎると、思った男性。
嘘を、付くのが下手なんだよ。
露草ちゃん…。
蒼い魂を持ったアイツの生まれ変わり。
『隗斗』
奈兎、ソナタは、俺に、何を、探させようとしている。
どんなに、姿が似ていなくっても、すがる場所を与えてしまったら意味をなさないじゃないか。
そんな事を、考えながら、俺は、愛剣の事を、思っていた。
三神帝の宝剣『血桜』は、人の血を吸って育つ、不思議な剣だ。
名に…。
相応しく、紅い色をしている。
他の式役とは違く、特別な存在だと、言えば良いのだろうか。
俺は、幼い時に、契約を果たしていた。
それは…。
三神帝の御上としての証。
血を吸いたくって、仕方ないと、言った感じに聞こえた俺は、適度な運動を、計画した。
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