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「はははっ…。両親や、兄達には解りはしないのに。隗は解ってしまうんだ。俺の邪悪な感情を」
同じ匂いがするもんで…。
「隠してなきゃ、この世界で生きていけないからね。内緒だよ…」
人差し指を、口元に、添えて、左目をウインクをさせた露草ちゃん。
お茶目さを、出したつもりなんだろうけど、無理があるって。
「あのね、年齢はこの際、どうでもいいとして。お茶目ってより半分脅しに近いよね。まぁ、諷夜さん達には黙っておいてあげる…」
「有り難う。隗が守ってくれなかったら、犯してる所だった」
俺、一応、三神帝の殺戮神として育てられてきたけど。
ここまで心が、狭くないのは自負している。スマートな笑みを見せられてドキッとした自分が驚き。
今のは確実に作りモノなのに…。
恋愛は遊戯でオオマゴトだと勝手に決め付けていた時代もあったから。
実際、トキメイテしまうのは、彼を入れて二人目。何というか、不意打ち過ぎるんだよな。
アイツといい、露草ちゃんといい…。
そいゆう部分は、前世のを引き継いでいる場合があるのか。
否、俺は全然変わってないからトキメキの原理は解らない。しかし、手に入れた恋の嬉しさを奪っていた奴を憎む原理は知っている。
欺瞞だと言い切った老い耄れと壊れた人形…。
初めて憎悪を抱いた相手。
殺したいと心から思った奴等。
『余計な感情を捨てろ!』
『貴方は殺戮神なのよ…。普通の恋愛が出来ると本当に思ってる?』
出来ていなかったら、あの頃、奈兎と、別れているだろう。
どんなに、叫んだとしても、後の祭。
壊れた人形、つまり“僕”の母親である三神帝 雨音は、遂行した。
自分の兄を…。
殺したんだ。
栄誉も、名誉も、湛えられた彼女は、素晴らしい。
だけど…。
直ぐに、壊れるもんだから、ネジを巻くのに、一苦労。
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