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―天界・水輝國・三神帝邸・門前
星が見えぬ暗憺な空に、不安を抱える門番達。先ほどまで空には星が煌めいていた。
厚い雲が、月も星すらも隠す。
「こいゅう時って、何かが起きる予兆なんだとよ!」
「縁起でもない事言うな。ただでさえ、別邸に偵察行った奴が戻って来てねぇのに…」
二人の門番が、コソコソと話しているのが聞こえる。月の明かりがなく、松明だけが唯一の灯りだ。
「そういや、パートナーの方が震えて帰って来ていたな。『千綵様が…』とか言っていた」
「流石は、玄弘様の息子だ。恐ろしさは負けちゃぁいないなっ!」
「へーっ。父様が…」
松明により照らされ露になる姿。漆黒の髪に白い肌をした青年。
細身の身体は、まるで女性のようだ。
何より異なる瞳が妖しく輝き色気が醸し出されている。二人の門番は息を飲んだ。
「誰だ、貴様は」
「此処は、三神帝の所有地だぞ。小童が来るような場所ではない!」
「直ちに立ち去れ」
「俺ねぇ、今怒りを抑えるのがやっとなんだ。早く、パートナーさんが居る場所を教えてもらおうか? それとも、貴方達が相手をしてくれるわけ?」
妖しく微笑む姿が、何とも言えない。
青年は、異なる瞳を、細めた。
だが、薄々感じる、神力が、物を言う。
彼等は、全身で感じていた。異常にまで、放たれる力の差が、脳天にまで届く。
ー…彼は、ただ者では無い。
それに、異様に、三神帝の総帥の息子である『三神帝 千綵』に、雰囲気が似ている。
鳴呼…。
似ていて当たり前だ。
俺は、その『千綵』の息子。
父親そっくりな性格をしている。
三神帝 黎斗と、双子。
門番は、今にでも、立ち向かいたいが、それを、阻止されている気がした。
まるで、此方の動きを、読んでいる様な感じで、楽しんでいる様な。
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