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【隗斗side】
家族を、監視する輩も、それを命令した奴も大嫌いだ。俺の事を、コケにしてきた老い耄れに見せてやればいい。
イタブリの材料にも過ぎない塵(ごみ)など消えてしまえばいいんだ。
糞爺に、従う奴らなど、三神帝には必要ない。俺の自尊心が許さない。
「大丈夫か、誰だっ」
「一々、名前を名乗らないといけないのかよ。貴様等、クズに名乗る名など持ち合わせていないよ!」
「小僧!」
ドアを開けるなり、出てくるゴミの山。駒だけあり人数も多いな。
「面倒臭いなっ…」
本来なら使う必要ないが、正直、面倒臭いから一扇で払うかな。
人数的に、全員で千三百人ぐらいか。
「何、独り言を」
そんな、怯えて、太刀打ち出来る相手だと、ソナタ達は、思っているのか。
だとしたら、残念だ。俺は、三神帝の“殺戮の桜”。
「あれは…」
宴と逝こうじゃないか。奈落。
この、溢れんばかりの塵に一発、見舞ってやるといい。
三神帝の血を引きし、殺戮神の舞をな。
奈落…。
ー…それは、俺の一扇の名。
漆黒の色をした扇子。
戦闘には、欠かせない。
『嵐が来る夜に、静かに、舞台を踏む。
この世の掟に則り、主の血を、飲むが良い。
さぁ、始めようじゃないか。
最高の能楽を…。』
第一の印を、組む。
そして、左足を静かに、引き。
右足を…。
前に。
『それ、神楽の一種かしら。だとすれば、蓮華、少し借りるわよ。第一の印を組み敷きは、彼の…』
櫻を…。
舞い散らす。
私は、求める。
『“古今東西、アリアの棲むが、夢落ちの底。京の都で、逢いましょう。デス・リアモーテ”…』
不鮮明ながら、覚えているが、アイツ、何時、目覚めた。
ー…●●●。
『お前が、転生する前からだったかな。というか、千綵に、聞いていなかったの?貴方のアレは、恐いのだと…』
蓮華の身体に入ってまで、やり遂げる事は。
『それを、私に、問う?』
鳴呼、俺が、間違っていた。
ソナタが、目覚める時は。
殺戮神の後継者問題だ。
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