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真っ黒な扇子が、隗斗により開かれた。一部の者しか知らないとされる一扇。 集まってきた中に、約数名が目を疑う。彼が開いた扇子は、嘗て、三神帝の『殺戮の桜』が持っていると云われいた一扇。 全てを払い、すべてを破滅に追いやる幻の扇子と云われる。 「おい、待て!」 「覚悟せよ、小僧…」 「何百人かかって来ようと、俺に効く訳ないよ。駒如きが勝手にホザクなっ!」 扇子を仰げば、竜巻が出来き、周りの家臣達を呑み込んでいく。 上に仰げば体躯が舞い上がり刻まれた。 「あの小僧、何者だっ」 「うわっ、化物っ!」 圧倒された者達は逃げの体勢に入る。 「逃げんなよ。折角、“奈落”の餌食になれるんだから…もっと盛り上がってくれないと困るよ!?」 「うわぁぁぁぁ…っ…」 十分もしないうちに、家臣の殆どが、全滅していた。隗斗は、扇子を閉じると次は、剣で屋敷ごと倒壊させた。 「口ほどでもない」 「間に合いましたか。本当に破滅させたんですね?隗様…」 「遅いよ、魔由羽」 「これは、時間の問題になりますね…」 「いいよ。存在を叩き込んでおけば」 小さな溜め息を吐いた男性は、半ば、呆れ顔をした。 隗斗専属の、騎士隊の隊長。 ー…魔由羽。 彼ほど、優秀な男は、居ないだろう。 三神帝の者は、この軍隊を、率いえて、当主としての自覚を持つ。 ー…黒騎士。 それが、隗斗の傍で、誓いを交わした銀莱帝、主が築き上げた砦である。 天界のシステムを、管理している一族ならではの考え方は、素晴らしく、評価されているのが、誇りだ。翔也は、この結果が何よりの光栄な事だと思っている。 それは、主である隗斗も、同じ。 どんな事があれ、裏切る事が出来ない絆が存在している。 三神帝に支えている者として、手となり、足となるのだ。 見えない掟が、存在しているのは、互いに解っている。

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