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夕闇に、燃え上がる炎は、ぱちぱちと、音を立てて、熱気が流れてくる。
隗斗は、満悦な笑みを溢す。下級家臣を、全滅さてた人物を知れば、必ず、老い耄れ爺は次なる命令を下すだろう。
はなから、狙いは定めておくもの。
しかし、隗斗は、敢えて、定める訳でもなく、じっくりと時間を掛けて殺ろうと決めている。
「じっくりと…ね」
「悪趣味ですね」
そんな、彼の、性格を知っているが故に、出る科白は穏やかな口調な魔由羽。
「悪趣味でいいんだよ。趣味は趣味でしかないのだから…」
手渡された黒いコートを肩に羽織る。
異なる瞳が優越な色を帯び、笑う。
つーんと、広がる血の匂いが鼻をつき、生暖かな風が頬を掠めていく。
そして、二人は炎を背にし、三神帝の所有地から姿を消した。
どうせ、跡形も無く、燃えてしまう運命。態々、身を翻して見る必要も無い。
断末魔が、響く訳が無いのだから、何と、美しい殺戮なのだろう。
久しぶりだとはいえ、腕が、鈍っていない事に、隗斗は、ほっとした。
転生する前みたく、美しく散らせる事が、何よりの救いだ。
まぁ…。
少々、内臓が燃えてしまったが。
後は…。
完璧だ。
老い耄れの姿が、目に浮かび、笑いたくなる。
興奮に満ちた期待。
窶れた双眸が、にたりと嗤う。
そんな姿が、彼は、憎ましかった。
『本当、隗斗は』
ボソッと、聞こえた声が、不満を抱いているのを感じ取ったが、敢えて、聞かないおく事にした隗斗は、彼女が、何故、現れたのかを考えた。
確か、見えない秘密の場所で、静かに余生を、送っている様に思えたが、今後、開かずの鳥籠を、開く事になれば、嫌でも、三神帝の、会議には、参加してもらうと、決めた。
どんなに、アレでも、三神帝の血筋だ。
我が儘で…。
参加させない訳にもいかない。
“蓮華”が、関わっているならな…。
素知らぬ顔をしながら、彼女は、微かに、口元を、釣り上げた。
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