61 / 94

6-4

【櫂覇side】 朝から早く起きている隗。それは、普段の生活から考えたら珍しい。 燐ちゃんも口を開けたくなるくらいに驚いたらしい。 ふっと、露草に視線を映すと先日の事を思い出してしまった。あんな風に、優雅に座りながら資料に、目を通しているアイツを見ると、やっぱ美形だよなって思う。 先日の、強引なキスをしたとは想像がつかないくらいだ。 隗が、不思議そうに露草の眼鏡姿を、じっと見つめながら話をかけた。 視線は、資料に向けながらも隗の話を聞いている彼。 「隗?」 櫂那が、不思議そうな顔をした。 「…何っ」 「僕も何してるの?って聞きたいよ…隗」 「問題ある?」 ポカーンとする俺や櫂那。燐ちゃんは、頭を押さえながら隗に言う。 燐ちゃんの言う通り、君は何をやってるんだ? 「大有りだ!」 「櫂覇兄様には、言われたくないな…」 そんな冷めた声で吐かなくってもよくないか? 恐いって…。 何を苛立っているのかは、解らないけど。朝から、機嫌がナナメなのは、理解出来る。 俺は、思わず、唾を飲む。 弟である隗が、恐いとか、有り得ないが、侮ってはいけない。 感が鋭く、洞察力も、人倍、働く。 これ以上にないくらい恐ろしい部分を持っている。 俺達、双子ですら驚くぐらいだ。 何かを、察しているなら。 恐怖の賜物。 隗が、不機嫌になるのは、会議の内容が、気に食わないか。寝不足のどちらか。 しかし、今、思い当たる事は、一つも無い。 ん-…。 考え過ぎかな。 『櫂覇兄様の…鈍感。そう、余裕持っていると、都霞取られちゃうよ』 何故、其処で、アイツの名前が、出てくるのかは、解らない。だけど、取られるとか、関係無いだろう。 都霞は、俺の事が嫌いだ。 あからさまに出る態度で、何となく、察知出来る。 それに…。 我慢出来ず、犯してしまったのも事実だ。

ともだちにシェアしよう!