60 / 94
6-3
それにしても、その、態勢をだな。
相手が、相手なだけに、求めても無理なのは、解るが。
ー…会議の、資料は良いのか?
今日の会議は、社交ダンスについてだろう。
暁草も言っていたが、五大王族の頂点である『三神帝』の一族が、来るらしいじゃないか。
そう、俺や櫂覇、隗斗の母親である『三神帝 慧弥』の家族。
つまり、少なからず、俺達も血が混じっている訳で。逢わないという、訳にもいかない。
何せ、彼処は、エリートだ。軍きっての指揮官をしているのは『三神帝 黎斗』。
叔父にあたる存在だと聞いているが、美しい形をしている割には、容赦無いらしい。
そんな、彼の父親は『三神帝 千綵』。三神帝の総帥であり、頭が切れる。
『櫂梛、俺の父親はね、凄く、恐い方なんだ』
亡き母が言っていた。
父親は、恐いのだと。
黎斗の下には、弟と妹が居る。
あまり、母は、話してくれなかったが、何となく、エリートとして育てられてきた環境で、厳しい父親が付き物な気もする。
『俺が…父君と、契りを交わす時に出された条件は、長男を、納得させろだった。それが、父が出した唯一の許しだったな。今じゃ、笑えるけどね…。だけど、兄様は…』
長男の話になると、切ない表情(かお)をしていた。
何故か、鮮明に覚えている。
社交ダンスも、水輝國で、広げられるのも、千年ぶりぐらいだと、諷夜さんも言っていたし。
何の為のパーティーなのかを聞いていないが、多分、王族が、揃うなら、それなりに大きい発表があるのだろう。
しかしながら、この状況から、目が離せないのは何故だろうか。
今、自分に問いたい。
弟の奇抜な行為を、見ている時間を、どうにかしたいのが願いだ。
翔也様なら、爽やかに交わしていくのだろうが、こうゆう免疫が無い自分は、掛けて良い言葉が思い付かない。
ともだちにシェアしよう!